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2017年09月12日18:04

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牧野信也の「アラブ的思考様式」を読んだ

牧野信也の「アラブ的思考様式」講談社学術文庫 昭和54年 を読んだ。我々とかけ離れたアラブ人の思考様式を主に言語の面から考察している。

 アラビア語は子音が28、母音はわずか3つである。しかもその母音は普通書かれない。子供たちや外国人が学習するための初等教科書などにはつけられるが、それ以外は、書籍、新聞、雑誌から個人の手紙にいたるまで、母音なしに、子音のみで書かれている。

 アラビア語ではらくだを表す言葉が多いが、それが別々の名で呼ばれる。雄のらくだ、雌のらくだ、太ったらくだ、やせたらくだなど、「らくだ」に形容詞をつけて区別するのでなく、まったく別個の名前をつけて呼ばれる。ライオンを表すのに500もの名が与えられる。

 また対立を統合する繋辞がない。たとえば英語では The man is rich というように Be動詞がつなぐ役割をするが、アラビア語では 「その男」「金持ちな」と並べるだけである。ヨーロッパ語の be, sein, etre や日本語の「ある」の場合は、元来存在を表していたものが繋辞として用いられるようになったのだが、このような用法は世界の言語全体にわたって普遍的にみられるものではない。

 読めば驚くことばかりだ。



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