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2017年08月04日21:12

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「日本語の謎を解く」を読んだ



橋本陽介の「日本語の謎を解く」 新潮選書 2016年4月刊 を読んだ。慶応義塾志木高校の生徒から寄せられた質問に答える形で、さまざまな疑問に答えている。

「におう」は漢字によって反対の意味になる。「臭う」は臭く、「匂う」だとよい意味になる。なぜ同じ言葉なのに反対の意味を示すのか。

答:「匂」という感じは国字で、中国には存在しない。悪いにおいしか表せない「臭」という字に対して良いにおいを表す「匂」が作り出された。中国では良いにおいは「香」または「芳」を使う。

なぜ平仮名と片仮名と2種類作る必要があったのか。

答:漢字だけの文に助詞などをつけると理解しやすくなる。最初は万葉仮名と同じ原理で、漢字を小さく書き加えていたが、字は小さい方が便利だ。それで万葉仮名の一部を省略して字形を単純にするようにした。これが片仮名だ。現在でも外来語を片仮名で書く習慣が続いているがこのことに由来する。

なぜ英語はSVOなのに、日本語はSOVなのか。

答: 世界の言語の大半がSVOかSOVになっている。日本語の語順は特殊なものでないどころか、世界でもっとも普通の部類に属する。一般にSVOの言語は前置詞を持つことが多く、SOVの言語は後置詞(日本語の助詞)を持つことが多い。

SVOの語順の言葉は後ろの語が前の語にかかる。古代中国では南方の地域を「越」と呼んだ。ベトナム語はSVOの言語なので「越南」と南が越にかかる。越(viet)南(nam)になった。

その他さまざまな問題に学会の定説をもとに、時には著者の考えを入れて説明している。一読に値する。
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