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2017年05月23日20:51

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教育勅語の文法上の誤り?

最近またやかましくなってきた教育勅語で、特に「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」の部分が批判されている。私の小学生の頃はカタカナで書いて、しかも濁点がなかったのでこういう感じで、「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」という意味だと思っていた。

戦後これは文法上の誤りだという説に接した。この「已然形+ば」はそうであるから、という意味になるという解釈である。「緩急が生じるのだから」という意味である。だからこれは「一旦緩急あらば」とすべきだったのではないか。

しかし、已然形の「あれば」の「ば」には、もう一つの用法がある。それは「〜するといつも、〜するときは必ず」という恒常条件を意味する場合である。例えば、「瓜食めば子ども思ほゆ」(万葉集)を「瓜食まば」とする必要はない。

実際に修正の朱筆が入った教育勅語草稿を写真版で見ると、井上毅の第十回草案に「アラハ」とあったのを、元田永孚が「ラ→レ」に訂正している。

そこには暗黙のうちに思想表現と言語表現に関する蘊蓄を、全人格を傾けて戦わせる二人の碩学の密かな火花とドラマがあったはずだ。井上は病気をおして草案執筆に心血を注いだらしい。


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