太田愛の小説作品：前書き

　かねてからマイミクさんが高く評価しておられる太田愛さんの小説を、けれど今年になるまで読む機会はありませんでした。処女作たる「犯罪者」が２０１２年、第２作の「幻夏」がその翌年ということもあってすでに地元の書店に在庫はなく、図書館にも置かれていなかったからです。それが今年の春に第３作「天上の葦」の刊行とそれに合わせての「犯罪者」の文庫化により現物に触れる機会を得て、まず１作目から読み始めたのでした。
　正直、意外でした。特撮シリーズでの叙情性が表に出た脚本家としてのイメージが強かったこの人が、かくも気骨のある社会派作品も書かれるということが。なにしろテレビから遠ざかって久しく、知名度では特撮よりも上とおぼしき「相棒」シリーズなど全く観たこともなかったのですから当然といえば当然ですが。また若かりし日に愛読したゴシック・ロマンスがアマチュアの手遊びに端を発したことに力を得てあくまで道楽ながら小説もどきの実作をしていることもあり、さすがにプロはアマチュアと水準が違うとも思うと同時に、方法論などの点では共感できたり参考になったりする点も多々あって、いくら道楽でもたまには高水準の玄人の技にも接しなければとも思ったのでした。

　そんなわけでこの日記では、主に技法的な興味をとば口としてこれら３作の関係を見つめつつ、コメント欄ではネタばれを気にせず語り合えればと思います。日記だと本文もコメント欄も字数制限がゆるやかな上につぶやきと違っていつまでも他の方々にも閲覧していただける上、今のＭｉｘｉ日記はグループ公開という設定ができ後から任意のマイミクさんを閲覧対象に追加できるので、これら３作を読了した方を後から追加することもできます。太田さんの著作を語り合うサロンのような場にできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
　なお、この前書きは全体公開です。これ以降の本文を限定公開の対象にしていきたいと思います。
（追記：１年を経過したため全体公開に変更しました）

その１　→
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