外山滋比古の「思考の整理学」ちくま文庫 を読んだ。かずかずのエッセイを書いておられる筆者だが、この本も面白い。グライダーと飛行機は似ているが、グライダーはエンジンがついていないから、自分では飛べない。グライダー的人間は新しい文化を創造することはできない。
昔の学生が訪ねてきて、脱線の話が実に面白かったという。いったい、どういうクラスにいたのか、とたずねてみると、使ったテキストすらはっきりしない。それでいて、脱線した話はあざやかに覚えている。教師は脱線を恥じるには及ばない。
講演をすると昔は競ってメモをとっていた。そういうメモを後になって読み返すことはまずない。それに字を書いていて話の流れを見失ってしまう。それがなくなってきた。それに関心がものをいう。メモやノートをとらなくても、興味のあることはそんなに簡単に忘れるものではない。
「平家物語」は声によって洗練されたものと思われる。音読して見ても、はなはだ流麗である。おそらく、琵琶法師の声による無数の推敲を経て、あのような結晶的純度に達したのであろう。
その他、ものを考える上で参考になることが満載してある。
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