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2015年11月15日10:50

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一日じゅう雨

柴田三吉さんと神品芳夫さんが日本詩人クラブの「例会」で話をするという。非会員が行きにくそうな名称だが、誰でも参加できるというので昨日行って来た。駅前で柴田さんと会ったので東大駒場キャンパスを適当に歩いていたら軽い迷子になった。雨が降りしきる中での銀杏並木はそれなりによかったが。

神品さんは新著『リルケ--現代の吟遊詩人』の周辺について語り、四編の詩を朗読した。彼の日本語訳を庄司進さんが読み(一部暗誦)、そのあと神品さんがドイツ語の原文を全て暗誦した。朗読されると脚韻が踏まれているだけでなく同系列の子音を同じ行にちりばめている手法や整えられた抑揚などが明らかにわかる。その分憶えやすいのだろうか。日本語でも詩は暗記するのはたいへんだが、短歌や俳句などは口をついて出てくるのと同じかもしれない。講演もよかったが、その詩にも改めて感銘を受けた

柴田さんのテーマは「東日本大震災と向き合って」で、震災後に出会った体験や思考について自作詩をまじえて話した。みんなよく知った詩たちだったが、思考の流れが語られたなかで読まれると、あらたな深みが増すという体験をした。通常、自作詩について語ると説明になってしまいがちだが、そうではなく、人が生きているということが真剣に語られていて、気付くとそこに詩の果実が取り出されているというような雰囲気である。それはまったく別の角度からそこにやってきたとでもいうように。どこからやってくるかわからないが、現にそこにある、というのがよい詩の訪れ方なのだ。

『冊』同人には知らせてあったが、行くと返事があったのは中村さんひとりだった。迷子の常連でもあり、遅いので迎えに出たところで会った。顔を見るなり「迷子になったぁ」と勤めを果したような顔つきであった。結果的に同人は計4人が来た。

懇親会の会場へ移動中、神品さんがトイレで倒れたという声があがった。救急車が呼ばれた。担架で運ばれる時には上半身を起こそうとされたりしていて、意識は戻ったようだ。懇親会の終りごろ、司会の人から、彼はK病院に運ばれ順調に回復していると報告があった。一安心である。八十歳を少し超えたところ。少し前に近著の内輪のお祝い会でお会いした時も昨日の講演中もお元気そうだったが、少し根を詰めるとキツイのであろう。

懇親会の後は恒例の階上の研究室での二次会に誘われたが、柴田さんと北島さんと私は抜け出て渋谷で飲んで帰る。一日中雨の日だった。
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