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2015年07月04日15:47

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新教材

どこにも出かけない土曜日はギリシャ語の基礎単語テストを昼食後に行うのがわが家の決まりである。NHKの「生活笑百科」のおどけたテーマが流れ、「四角い仁鶴がま〜るくおさめまっせー」というのが聴こえると、テストが近いのだ。食器洗いは私の担当だが、この時はカミさんがやってくれ、その間、私に最後の復習の機会が与えられるのである。カミさんが洗い終わったら試験官に早変わりして生徒の前に坐るのだ。

そのために最初に作った手書きの教材(白水社・池田黎太郎著『古典ギリシア語入門』の巻末単語集を書き写したもの)は4年半、13クール使ってきたがボロボロで擦り切れる寸前なので、引退していただくこととし、先週から新教材(岩波書店・田中美知太郎/松平千秋著『ギリシア語入門』の巻末語彙集)に移行した。書き写すのは面倒なので、今回は本そのものを使っている。ギリシャ語の読めない試験官のために生徒がカタカナを書き込んでおくのである。

基礎単語集だから似たようなものだろうと思っていたが、岩波版のほうが単語数はかなり多く前教材になかった語が散見され新鮮だ。35ページほどあるので、1クールが終わるのは来年春頃だろうか。英語やドイツ語だったら文法の本の付録に簡易辞書なんていうことはない。必ず別に辞書を買いなさい、となる。それだけ古典ギリシャ語はマイナーな死語であり、文法を学ぶために高価な辞書を買う必要はありませんよ、授業が終わったら(一部の学者・研究者以外は)もうお目にかかることもないのだから、ということなのだろう。

前の教材はかなりの部分を憶えたが、それでもザルからこぼれ落ちるように忘れて行く。私の読んでいるのは哲学書なので、生活の中に出てくる物の名前などは馴染みがなく、よけいに憶えられない。使わない言葉を丸暗記というのは難しいのだ。永遠に続けなくてはならないのかもしれない。

それにいやな顔ひとつせず付き合ってくれているカミさんには感謝あるのみである。他のうちでは、こんなに長くやってくれないのじゃないかなぁというと、カミさんはそんなことないんじゃないの。と言う。例が特殊すぎて周りの人にアンケートを取りにくいが、たいていは飽きると思う。自分ではギリシャ語をやりたいという気持ちは全くないのだから。教材が変わったせいか、今日初めて質問された。「このἡ って、名詞の印?」「女性名詞に付く冠詞で読み方はἡ (ヘー)。男性名詞用はὁ(ホ)で、中性名詞用はτὸ(ト)だけど、名詞であることはわかる」「へー」(←日希にまたがるダジャレである)。4年半私の試験官をしてきたカミさんは本日、英語でいえば「the」を知ったのだった。

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