『辻征夫詩集』巻末の対談（谷川俊太郎vs辻征夫）で面白かったのが、七五調問題。
谷川俊太郎「ぼくは現代詩人で俳句をやる奴は全部裏切り者だと思ってるんだから。」
辻征夫「最初は遊び半分ですよ。」
谷川「ねぇ。大体そうでしょう？ でもみんな結構はまってゆくんだよ。」
辻「そうなの（笑）。若い頃は詩人たちの付き合いでも、あれ読んだかとか、これがおもしろかったぞ、とか本の話、文学の話を盛んにやったんです。ところが、その付き合いが長くなって、中年になってきたら、いつのまにかそういう話がなくなっちゃう。（略）」
そこからの岐路�…圓両豺隋帖帖峭喘蓮廚農痢�句会遊びをしたら面白かったらしい、という話からやってみようということになり、やってみたらみんな夢中になってしまったという。あの周辺の中上哲夫さん、八木忠栄さんなどに会うと、みなその一派なので、俳句に距離を置く私は肩身がせまい。中上さんには「上手さん、詩だけやってればいいと思ってない？」などと責められる。日本人には七五調は体にしみついていて、そこに関わらないと日本の伝統的な詩歌を否定しているかのうしろめたさがつきまとう。しかし谷川の詩サイドからの「裏切り者」発言は痛快だ。
そこからの岐路��谷川の場合……「（『櫂』の集まりでは）誰も詩の話なんかぜんぜんしないんだ。まぁ今は本当に病気の話ばかりしてるけども（笑）。時々ぼくは苛苛（いらいら）して「合評会やろうよ」なんて言ったほどなんだけど、皆上品でサ、他人の詩をけなすなんてことは絶対しないのね。」（そうか。『櫂』の大御所詩人たちは合評を真面目にやってなかったのか。ウチでは傷ついてもしっかりやらなければ。）→結局、大岡信さんなどもいたことから名高い『櫂』の「連詩」の試みに発展した。
そこからの岐路�� 辻「この間、『櫂』に招待されたけれど、茨木さんから『戦後五十年』なんてテーマを与えられて、できっこない、って思ったもの」。 谷川「凄いでしょ。あれはみんなできっこないって思ったんだよ。いやぁ、茨木さんだなって（笑）……。」→で、その結果はどうだったのかは書かれていないが、みんなの尻を叩いているのり子おねえさんはすばらしい。その時は「戦後五十年」。今年はそれから二十年も経った。
あれ、七五調の話をしていたら五十年、七十年の話になってしまった。で、谷川発言を引用しておこう。
「七五調に戻るんなら、お前、詩でちゃんと戻れよ、と言いたいね。」（そうだ、そうだ！！…むずかしいだろうけど）
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