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2014年01月05日02:48

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初夢としてのモノラルLP・CD専用装置の構成案

この三が日プラスアルファはあれこれと雑事が多く、ふと気がつけば初夢らしいものも見ないまま、いつもどおりの多忙な日々が戻ってこようとしています。それがなんとも残念なので、ここで場所やお金に余裕もないため実現できない夢のオーディオの私案めいたものをつれづれに書いてみようと思います。



CDの時代に移ってはや30年余りの日々が流れ、LPはどこか追憶の甘美さとともに語られることが多くなったように感じていますが、1本の針で45度の角度のV字型の音溝の両壁に異なる音楽信号を刻み、同じく1本の針でそれを再生するという原理のものでしたから、当然それは多くの困難や妥協を伴うものでありました。独立の2本の針ではなく1本の針で刻みそしてトレースするという構造上、そして熱で軟化しているとはいえ一定の粘度を持つ素材からの抵抗や反発もあるという条件ゆえに、信号を正しく溝の両側に刻むことがまず難しかった。それが最もシビアに露呈するのが本来左右が完全に同一でなければならないモノラル信号のカッティングでした。

本来SPからモノラルLPの時代までは、1本の針で左右に蛇行する溝をカッティングし、それをトレースしていました。針先は横方向の信号だけを刻みそしてトレースすればよく、取り出される信号も1系統だけで当然スピーカーも1本でした。それが入力信号も出力信号も2系統になったにもかかわらず、針だけが1本のままだったのです。それでもステレオ信号は、入力される信号自体が左右で別のものだったので、少しぐらい針先が信号どおりの動作をしていなくてもよかったのですが、モノラルのカッターヘッドが姿を消してステレオのカッターヘッドでモノラルLPが製造されるようになると、完全に同一であるべきモノラル信号であるがゆえに、左右の不ぞろいが露骨に再生音に反映するようになったのです。具体的には音像があいまいに滲み、溝の振幅が細かくなる高域では精確に同一の信号が刻めずに左右で溝の形が逆になったりして部分的に位相が逆転し打ち消しあう現象が生じたのです。これが年季のあるファンが口にする「モノラル再生にはモノラルカットされたオリジナル盤とモノラル専用カートリッジが必須である」という言葉の意味する事態であり、音像がぼやけ高域の再生特性が本来の信号とは似ても似つかないものになってしまった再生音は、モノラル盤はとにかく音が悪いという印象を実際以上に助長するものでした。僕も当初はステレオのヘッドでカッティングされたモノラル盤しか知りませんでしたから、モノラルだから音が悪いとしばらく思っていたのですが、モノラル用カートリッジでモノラルカットされた盤を聴いたとき初めてその真価に気づくことができたのでした。

こと過去の遺産のCD化という観点からいえば、CD時代に元も恩恵を蒙ったのは実はモノラル音源です。原理的に入力信号への忠実な記録が保証されたCDゆえに左右のチャンネル間での記録ずれが解消し、音像のゆらぎや高域の音のアバレは完全に解決されました。これがなければモノラル音源のファンにLPに対するCDの優位性を印象づけることはできなかったかもしれません。LP時代の後期にモノラル音源が本来の姿で製盤・再生できずにいたからこそ、CDはモノラル音源の器としての抜群の忠実性を印象づけることができたのです。それがなければLP時代と比較にならないほど盛んになったヒストリカル音源の発掘も、こんな活況を呈していなかったかもしれません。

だからCDだけが対象であれば、通常のステレオ装置で聴いても特段の問題はないのですが、ステレオカットされたモノラル盤を鳴らそうと思えば装置の構成で工夫をしてその弱点が目立たないようにしてやる必要が出てきます。最も簡単な方法はバランスつまみで片方のスピーカーを黙らせてやるのがいいのですが、そもそもモノラル盤は正面に置かれたスピーカー1組で聴くべきものですから、初夢なので完全にモノラル専用のセッティングを試みます。現在モノラルアンプは高価なセパレートアンプのパワー用しか入手できず、プリアンプにはモノラル用が存在しないので、ここでは通常のステレオプリメインアンプと2本のスピーカーで構成してみようというわけです。

ステレオカットされたモノラル盤の致命的な欠陥である左右の音の記録ずれは、ステレオセッティングされたスピーカーを使ったときに最も露呈しますから、2つのスピーカーの条件を不揃いにすれば目立たなくなります。最も簡単なのは片方のスピーカーを後ろ向けにすること。高域は指向性が強くて低域ほど反対方向に回りこまないので、これであらかた影響をキャンセルできます。そしてこれはモノラル時代に最高峰とされたタンノイのオートグラフに似た再生音をもたらしてくれる配置でもあります。本来は1本のスピーカーを部屋のコーナーにはめ込んで使う設計のオートグラフは、タンノイ独自の同軸2ウェイユニットからの直接音と左右の壁と密着させて完成する左右のバックロードホーンからの低音反射をミックスした放射音を持つものであり、正面の音像を左右からの残響が包み込むことでまだ録音段階では十分に収録できなかった残響音を機械的に付与するものでした。後ろ向きのスピーカーはそれに近い効果をもたらしてくれるのです。

なおステレオカットのモノラルLP用で使う時の注意点ですが、アンプにステレオ・モノラル切り替えスイッチがあっても決して使ってはいけません。モノラル切り替えスイッチは左右の信号をアンプ側でミックスするものなので、使うと音像だけはいくらか安定するものの、上述の高域のアバレと減衰がその時点で生じてしまいます。



ちなみにこのシステム、置き場がなくて常設してはいませんが、手持ち機材で実験済みであることは申し添えておきますし、現にLPプレーヤーこそ置く場所がないものの、フルレンジ2本による小型システムは長年寝室で愛用しています。あと意外な用途として、伴奏は左右両方に収録されているのに歌声は右にしか収録されていないカラオケソフトをヴォーカルアルバムとして楽しむ用途にも使えます。右側を上に、左側を下にして下のスピーカーの音量を絞ると、通常のステレオでは片側に寄ってしまううえに伴奏に比べ音量が不足するカラオケソフトが観賞用として聴けるようになりますので、興味がおありの方はぜひ♪

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