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2010年11月16日02:07

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ネクサス後日談雑記1〜あらすじの整理

ここでは昨年2月に書いた冒頭部分と先日書いた続きの部分を、整理して一つにまとめておきます。


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来訪者の記憶操作のヴェールがはがされ真実が全ての人々の前に明らかにされた状況下で、宇宙からの恐怖の憑依体ビーストとの戦いは新たな段階に入っていた。組織的な兵力を整え総力を挙げて未曾有の外敵と戦う人類。当然そこでは戦う力、守る力を持つ者が我が身の危険を顧みず激しい戦いに身を投じる機運も頂点に達していた。

それは神秘の光を受け継ぎ銀色の巨人=ウルトラマンに変身する力を得た者にとっても同じだった。そして、もはや公然の存在として認知されたウルトラマンに対する人々の期待は当然ながら大きかった。いかに組織され整備されたとはいえ、通常兵力では変幻自在の憑依体に対応しきれない局面も多く、ウルトラマンの超常能力が決め手になるケースは依然として多かった。



兄は両親を十年前に亡くして以来、歳の離れた妹や弟を苦労して守り育ててきた。そして来訪者の記憶操作が解けたとき、明らかになったのは父母もまた初期のビースト犠牲者だったという事実だった。だから神秘の光が訪れたとき、彼は全力で人々を守ろうと思った。力を得たことをあえて明かし防衛隊と協力することでなんとか光が自分から離れない間にビーストの脅威を根絶しようとした。だがその思いと裏腹にビーストの力はなかなか衰えず、かつてのデュナミスト達と同様に彼の体もしだいに消耗の度合いを深めていった。

そんな兄を姉は心配のあまり翻意させようとした。なぜそこまでしないといけないのか。こんなことを続けていたら死んでしまうと。二人の口論はしばしば激したものとなり、弟では止められない事態になることさえ少なくなかった。

そんなある日、突如として強大なビーストが都心に出現した。

不意を突かれた人々の多くは逃げ遅れ、逃げ惑う者、ビーストの餌食になる者が入り乱れるこの世の地獄が現出した。人々が多数残っているため防衛隊は有効な攻撃をかけられず救出活動を中心にせざるをえなかったが、それはウルトラマンにとっても決定的に不利な状況だった。すでにメタフィールドを展開できないほど消耗していた兄は、周囲に被害を及ぼしかねない大技をことごとく封じられた状態での戦いを強いられた。そして血みどろの戦いの果てにビーストを倒したが、満身創痍の青年もまた変身が解けたとき大地に斃れ、二度と立ち上がることがなかった。



姉の精神は平衡を失った。眼前に見せつけられた兄の無残な最期の光景が果てぬ悪夢と化して彼女を苛み、やがて意識下の領域でなにものかが胎動しはじめた。人々が兄を、かけがえのない人を擦り減らした果てに自分から永遠に奪い去った。その憎悪を糧にいつしか彼女に憑依していたビーストが育ち始め、ついに彼女が悪夢の眠りに陥るたびに、おぼろな影がひそかに徘徊するようになった。そんなこととは知らぬ弟もまた兄の死の打撃が癒えぬまま、姉の苦しみ一つ除くことのできぬ我が身の無力に煩悶の日々を送っていた。

そんな少年のもとを、神秘の光が訪れた。兄に続いて光の力を得た弟は、自らが力を得たことを姉が知れば懊悩が深くなるのではとの危惧から姉に距離を置くようになった。

だから彼は姉に起こった異変に気づけなかった。抑圧された愛の対象だった兄を奪い去った全ての者への憎悪に染められた姉の心が黒き光を呼び込んだことを。いまや彼女は悪夢に苛まれる眠りに陥るたびに、より明瞭なヒト形の黒いビーストの姿を持つ霊体のごとき状態で街を襲うようになっていた。その正体を知らぬまま、弟は捉えどころのない恐ろしい敵と何度も戦った。

やがて度重なる戦いの果て、ついに残酷な真実が白日の下に晒されるときがきた。茫然自失して立ち尽くす弟の前で、憎悪に歪んだ自らの醜い姿に、あまつさえそれを弟に見られたことに衝撃を受ける姉。そしてあまりの自らの醜悪さに、憎しみゆえに重ねた罪の重さに、それでいてなおも抑えがたい憎悪を克服できぬ己への絶望の悲鳴と共に、彼女の精神は砕け散り、死さながらの深い昏睡に陥ったのだった。



自分は姉一人さえ救えなかったとの慙愧の念を抱いたまま、弟はビーストと戦い続けた。その思いゆえ彼は、回復はもう望めないと宣告された生ける骸のごとき姉に、戦いに赴くたびに懺悔にも似た言葉を語りかけ続けた。そんな絶望的な鼓舞でからくも自らを支えつつ、弟は憑かれたように戦い続けた。全てのビーストを倒すことができれば、この状況を終わらせることができれば、姉は戻ってくるのではとの妄執にも似た思いを抱いたまま。

ついに動物や植物に憑依したビーストをすべて撃破した弟。だがその結果彼の前に立ちはだかったのは、人間に憑依したビーストたちだった。姉殺しさながらの恐ろしい戦いを強いられた弟は、止めを刺せば精神的なダメージを免れず、止めを刺せねば犠牲が増え、それが新たにビーストに取り込まれる人間を生み出すジレンマに直面した。弟の心身はそれまでと比較にならぬ勢いで消耗し始めた。



人間に憑依したがゆえに一定の知性を持つに至ったビーストは、それを見逃さなかった。一気に決着を付けるべく残りのビーストが全て合体し、雲突くばかりの巨獣と化して街に迫る。悲壮な決意を姉に語り残し、最後の戦いに赴く弟。だが圧倒的な力の差に一方的に蹂躙され、ついに大地に倒れ伏す。とうとう姉さんを救えなかった! 姉に向け放たれる思念の叫び。

そのとき、姉の閉ざされた瞼から伝い落ちる一筋の涙。その目がかっと見開かれ、渦巻く闇と光の奔流から降臨する巨大な翼持つ異形の女神!


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これから少しの間、このあらすじをベースにあれこれ考えてみようと思います。

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