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2026年09月22日01:57

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一方で、“きちんとした娯楽映画”を目指すスタッフ&キャストがいたから、映画は娯楽の王者だったんだと確信しました。牛原陽一監督「実いまだ青し」(1959)。

「東京だョおっ母さん」(1957)の、いかにも雑な映画作りを見せられてがっかりしていたのですが、その一方で日活映画の「実いまだ青し」という作品に手を出したら、こちらはきちんとした“娯楽映画”として成立していたので、やはり作っている側の“ノリ”というものが、作品に及ぼす力が大きいのだということを実感しました。

まず主役が川地民夫で、上映時間が1時間28分です。僕は、当然“Bプロ”だと思いましたが、併映が堀池清監督の「青い国道」で52分の中編のようですから、この「実いまだ青し」がAプロのようです。2月4日公開だから、“にっぱち”の捨て番という発想かも。←ジョン・ウェイン主演の「黒船」がほぼ同日公開という時代でした。

雪国の高校で成績優秀な三年生の花巻竜司(川地民夫)は、“東大か早慶”の建築学部を目指す進学派。野球部が全国大会出場ということで盛り上がっているのですが、そんな“愛校心”に疑問を投げかける記事を校内新聞に載せて、応援団から“制裁”を受けます。しかし、竜司は病身の父親に代わって、住職の実務をこなしていたのでした。

竜司の学力は教師(内藤武敏)のお墨付きですが、その教師がちゃっかり竜司の姉(高友子)との結婚話を両親の了解を得ています。それでいて、住職という大任を竜司に捨てさせる方向をそそのかすって、なんじゃろかい。とりあえず“戦後民主教育”を体現している教師という設定なのでしょう。

でもって竜司は、先輩に誘われてバーへ連れ込まれたり、そのバーの女給(渡辺美佐子)から思われたりと、なかなかお盛んなのでした。そうそう同級生(沢本忠雄)の妹利恵子(中原早苗)からも粉掛けられてモテモテなのですが、利恵子の家が料亭だというあたりも、応援団の着目するところとなります。

そういえば高校野球出場校が“不祥事”で出場辞退するというニュースが飛び交った時代がありました。その5〜6年後である僕の高校時代でも、友人宅で泊りがけの酒盛りをしていた連中がいたようです。その家の親父さんが、率先して飲ませたとも聞いてます。この映画が描くように、世の中まだまだテキトーだった訳です。

その一方で、病気で臥せっている住職(宇野重吉)は、自身も住職ではない道に進みたかったなど、なかなかそれぞれの人生をうまく描いていました。何よりも、それぞれの人物たちの表情に含みを持たせて次のカットへとつなぐ、常識的な情感描写がきちんと行われているから心地よい。東宝の歌謡映画とは大違いです。

牛原陽一監督は、牛原虚彦監督の息子さんだそうですが、牛原虚彦監督その人の映画すら見たことがありません。牛原陽一監督のフィルモグラフィーを眺めると、日活無国籍アクションを盛んに作っていたような。そういう監督さんでも、ノースター(失礼!)のこんな映画を、きちんと作っていたのでした。そういう評価はしておかないとね。

ということで、レアな映画を追いかけていれば、日本映画の“厚さ”が実感できました。雪国にロケした、そのアクチュアリティも褒めておきたい。こういう娯楽を、毎週毎週追いかけて映画館へと通っていた“黄金時代”の実力を、侮ってはいけませんね。しっかりと再確認したいと思います。
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