以前から何回もこの番組を取り上げていますが、僕にとっては小学生時代に馴染んだ祖父母の家での生活を思い出させてくれるもので、ネタ切れのせいで同じ家について次週へと引っ張られても、いちおう見ることにしています。今回は最近凝っている高知県の四万十川上流ということもあり見ました。
この番組は2017年10月に始まったそうです。Wikiによると325回目とか。最近、次週に引っ張る“姑息な”手段が多すぎると反感を持ちながら、3姉弟の324回目の放送を思い出しつつ見ました。“今回、偶然にも衛星写真で探しあてたポツンと一軒家は、なんと12年前に「大改造!!劇的ビフォーアフター」でリフォームしたお宅”には眉唾しながら(笑)。
前回の「ビフォーアフター」からの再訪という部分だけ見ていると、やっぱりネタ切れしてんねんな、と冷ややかでした。でも、山奥の一軒家に幼い3姉弟だけが取り残されて生き延びた話は痛烈でした。今回は、久しぶりに帰ってきた弟さんの語りが僕には懐かしかったな。つまり僕も子供のころ、イタドリ(虎杖)をかじったことがあるのです。
もちろん今回の一家のように、三度の食事もままならないから何でも食べられるものを食べたという状態とは違います。山道を歩いていて、同い年の友人が“これ、食えるんやで”と差し出してくれたものを食べた程度。しかし、そのイタドリという名前を、僕は70年くらい忘れていた気がするのでした。そして僕は“ゼンマイ”にも反応しました。
とりあえず東京に出てきて半世紀以上ですし、その前の大阪や奈良の学園前での生活では全く山菜に興味がなく、ゼンマイを食べたことすら忘れていました。そういえば祖父母のもとでの夏休みには、山遊びの途中で見つけた山菜を持ち帰ったこともあったっけ。よく一緒に遊んでくれたS君はどうしてるだろ?
そのゼンマイは、頭部を金属製のゼンマイのように巻いている形から名付けられたそうですが、この弟さんは茎を半分に折り、硬い部分の茎をゼンマイのように丸めて、それが反動で開く力を利用して虫などに当てて遊んだというのです。僕は流石にその遊びは知りませんでしたが、似たような草での遊びを思い出しました。
そんな話が興味を繋ぎ、つい見とれていたのですが、さらにこの家の奥にもう一軒“ポツンと一軒家”があるという展開が圧倒的でした。弟さんの同級生の家で、早くから家電のテレビなどがあったお宅なので、3姉弟の窮乏を見かねた同級生のお母さんが、自分の子供のお古だけどと肌着などをくれたというのです。
それだけでなく風呂のない3姉弟の生活を知っているから、テレビを見に来たその日には順番に風呂へ入れてゴシゴシ洗ってくれたそうな。その弟さんの同級生は亡くなっていましたが、同級生の弟さんはご健在で“ポツンと一軒家”の主でした。てなわけで、「ビフォーアフター」ネタを無理やり引き伸ばしたとしても、なかなかの展開でした。
とにかく窮乏生活を細部まで語ってくれたうえに、風呂に入れてくれた同級生の母親が施設に健在だということで、弟さんにとっては半世紀以上ぶりの再会となります。これには、さすがの僕もウルウルしてしまいました。92歳のおばさんも、生きているうちにこういう再会ができて、本当に嬉しかったことでしょう。
つまり“人情”というものは、政治家が引用する“一杯のかけそば”程度の話ではないのです。あの逸話の“イヤらしさ”は、そもそも金儲け主義で戦後の日本を引っ張った政治家たちが、貧乏に対して手を伸ばさずに富裕層の蓄財を手助けする政策しか実行しなかったわけです。そのツケを“人情”におっかぶせられてたまるか、と僕は思う。
ということで12年前の自社番組から演繹したこの2週連続特番は、制作スタッフたちの手間を省かせた功績だけではなく、さらに一歩踏み込んだ味わいがありました。その3姉弟が“食べて”と差し出した山菜の煮物を、番組の早川さん、心して食べたでしょうね。いつものクレクレ男が今回は目立たないほど僕はしんみりしました。
オワコンのひとつである地上波テレビですが、阪神タイガースが勝った試合のニュース映像以外にも、まだまだ見るべき番組はあるようです。でも大半が、“5分消し”ですわ。たのんまっせ。
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