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2026年08月23日00:01

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工藤栄一監督が、佐治乾脚本を得て作った、実録シリーズとは一味違う大人向けヤクザ映画です。工藤栄一監督「日本暗黒史 血の抗争」(1967)。

東映チャンネルで放送してくれたのでAVC録画しました。1967年ですから、集団時代劇というブームは終わり、ヤクザ映画が本格的になった頃ですね。脚本は佐治乾。深作欣二監督の「誇り高き挑戦」(当時は未見)で名を挙げ、僕にとっては河辺和夫監督の「非行少年」(1964)とか、岡本喜八監督の「血と砂」を担当した“俊英”でした。

そして主役が安藤昇。加藤泰が松竹で「男の顔は履歴書」を撮り、それが僕の当時ベストワン作品だったわけです。東映に移籍した「懲役十八年」も加藤泰監督作ですが、イマイチ心に響かなかったな。でもこの「日本暗黒史 血の抗争」は、なかなかの手応えがありました。戦後すぐのどさくさから、中部地区で勢力を伸ばす愚連隊を描きます。

柳ヶ瀬とか、名古屋がでかでかと映し出されますが、すべてフィクションなのは当然ですね。東京の大きな組から支援された河上組(組長を演じるのが安藤昇)が、名古屋のロートルやくざ親分衆に引導を渡そうとする話でした。組長の妻を瑳峨三智子が演じていて、その馴れ初めなどをスッキリ飛ばしているあたりが快調です。

大学生が愚連隊の知恵袋となるあたり、安藤組の実態と被る雰囲気はありますが、それよりもヤクザ同志の争いとかメンツとかが、アクチュアルに描かれるところが興味深かった。そんなストーリーラインの迫真性というものが、ヤクザ映画人気を盛り上げていた時代です。集団時代劇の武士道が、ヤクザの論理に取って代わったわけ。

テレビという良識派を気取るマスゴミが(今ほどひどくはなかったけどね)、「スター千一夜」という番組に鶴田浩二と高倉健を呼び、司会の三木鮎郎が“ヤクザ映画なんか出たくないでしょう?”みたいに水を向けると、鶴田・高倉が“それでいいとおっしゃるお客様がいらっしゃるもので”と返答していた時代です。

この映画の安藤昇は、挑戦戦争が勃発したことから日本で勝手きままな行動を起こすGIたちに反感を持ち、殴りかかったことで刑事(伴淳三郎)に逮捕されます。しかし、刑事もGIの無謀な行為には頭にきているので、お互い通じるものがあるのでした。こういう物語設定が、当時としては新鮮でした。

そうはいうものの、ロートルやくざ集団に対して戦争を仕掛け、ビルとビルで銃撃戦を展開するのはいかがなものか。せっかく地道に勢力を積み上げてきた河上組が、絶滅覚悟で戦いに挑むというあたりに、僕はあまり乗れませんでした。警察に護送される際、隙を見て敵の親玉に一発食らわせるなんて、漫画もいいとこですわ。

しかし、先述の瑳峨三智子とか、最初の舎弟になる山城新伍とか、そしてもちろん刑事の伴淳三郎も、それぞれ見せ場をきちんと持たせているのがいいところです。こういうプログラム・ピクチャーが、ヤクザ映画ファンを納得させていった時代なのです。まだまだピラニア軍団の時代ではありませんでしたが、ずらりと並ぶ顔を見るだけで十分。

社会の悪を描くからダメだとか、紋切り型の批判でヤクザ映画を批判したつもりになる前に、細部に描かれた“人間性”の魅力を、きちんと映画に定着した、その成果をきちんと評価して行こうではありませんか。与えられた道徳をありがたく受け取るだけでは、正義というものには絶対に届かないのですよ。
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