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2026年08月13日02:30

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無声映画も含め6度も映画化されている小説ですが、自殺しない結末でホッとしました。野淵昶監督「瀧の白糸」(1952)。

はい、大映映画で京マチ子が主役です。野淵昶という監督さんについてはまったく知りません。ふーん、奈良県奈良市出身か。なんか親近感を憶えますね。でも僕より51歳も年上ですけど。そもそも日本映画に疎くて、しかも無声映画はほとんど見ないという僕には、たまたま“蔵出し名画座”というレアな作品だということだけで見ました。

大抵の場合、そういうスケベ根性は失敗するのですが、タイガースが同率首位のジャイアンツに対し、敵地東京ドームで連勝という“追い風”のお陰で、すんなりと見ることが出来ました。そうは言っても、御年28歳の京マチ子さま、ちょっとふくよかすぎませんかね。あのころは食糧難で、痩せている女性はそこら中にいたからふくよかさが魅力だった?

水芸で人気の旅芸人“滝の白糸”こと水島友(京マチ子)が、苦学生の村越(森雅之)に惚れて仕送りをするという展開です。昔だったらそもそも手を出さない映画ですが、懐古趣味のジジイになったせいか、つい手を出してしまいました。タイトルには浪花知栄子と出ますが、僕にはラジオドラマ「お父さんはお人好し」で馴染み深い浪花千栄子その人でした。

父親が主宰していた水芸劇団のスター水島友が、父の死を受けて劇団を引き継ぎます。水芸ですから、夏の間だけ興行すれば“あとの半年は寝て暮らせる”というスタイルだったのに、苦学生に惚れた友が、仕送りのため冬場も興業を続けるという展開でした。番頭格のみどり(浪花千栄子)は反対しますが、友は言うことを聞かない。

そのあたりの“お約束”が、僕のようなアプレゲールには納得できないわけですが、それを置いておくなら、そこそこおもしろい人間模様でした。一番弟子のあやめ(星美智子)が友の気持ちを悟って劇団を辞めていくあたり、泣かせるじゃありませんか。誤解していたみどりも、きちんとあやめに詫びを入れる。そんな律儀なドラマがうれしい。

そして劇団が稼ぐために巡業するのが紀伊半島。そうです、小津安二郎監督の「浮草」でドサ回りをしていた地域です。じっさい僕が小学校1年生のときに、奈良県吉野郡国栖村に巡業劇団がやってきて、学校の講堂で芝居を見せていました。そんな忘れていた記憶が蘇るというところが、ジジイの心を和ませるのです。

とはいえ、友の仕送りで法律の勉強をした村越が、初赴任で友の絡んだ事件の検事になるというあたり、作り過ぎもええとこの展開です。とりあえず結末をナレーションでさらっと終わらせるから、映画が娯楽の王様になりかけた時代にはそれで良かったのでしょう。国栖小学校で見た巡業劇も、そんなお約束の芝居が複数あった気がする(さわり集ね)。

ということで鑑賞している僕自身の、独自の味付けがうまく出来ない場合は手酷い“蔵出し名画”ですが、逆に言うと正面から作品として鑑賞するというかたちではなく、美味しそうなところだけ食べていればそれでいいのです。写真3の左端が星美智子、その左が浪花千栄子です。音楽が早坂文雄で撮影が宮川一夫。はい映検志望者、見なはれや。
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