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2018年03月27日00:13

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エピソードEX5(リレー)その24

マイミクの綾華☆☆様のコミュニティにおけるリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』に更新がありましたのでお知らせいたします。

なお綾華☆☆様のコミュは下記のアドレスです。シリーズ本編をご覧になられる場合はこちらへお回り下さい。参加は綾華☆☆様の承認制ですが、申請はどうぞお気軽に。

「ZERO Another BALLAD」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=5150160&_from=subscribed_bbs_feed


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EXリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』
綾華☆☆

take-24

February 11st PM03:45

「オリンピックメダリスト、ヨーゼフ・リッケンバッカーが負けた……っ」
 夢野市唯一の男子校、夢野修道館学院高等部の体育館がどよめいた。
「やっぱり兄さん、凄いや!」
「リッケンバッカー相手に完勝! やるな、ソラっち」
「明日の決勝は、フランスのアンリ・ド・クレマンよね! ソラぽん、凄〜いっ」
 客席で手を叩くテラ、倉澤チーフの子供達、そしてユカリ。
 そんな彼らの見守る中、フェイスガードを外して握手する見上げるような大男とその前では少年のようでさえある若い男。大男は前回のオリンピックのフルーレ種目ドイツ代表にして金メダルに輝いたヨーゼフ・リッケンバッカー。小柄な若者は、もちろんソラだ。
 ヨーゼフはソラの肩を軽く叩き、明日の勝利を、と声をかけて大股ながら静かに控室へ去っていった。
 ソラも控室に戻るや、ポットに入れていた紅茶を飲みつつ汗を拭う。
“やったなソラ。明日は決勝だな”
『ああ、どうにかな。やはりヨーゼフさんは強かった。さすが金メダリストは伊達じゃない』
“クレマン最大のライバルという呼び名はダテじゃなかったってことだな。ソラ、こりゃ明日は勝てるぜ!”
『ゼロ、気楽にいわないでくれるかい。勝敗は時の運だから』
“何いってやがる。これなら勝てるぜ! 弱気にさえならなければなっ”
『ムッシュも準々決勝は苦戦してたな。ノルウェーのハンスさんがあそこまで出来るようになっていたとは』
 B・i・R・Dノルウェーのハンス・ヨンソンは、前回のオリンピックでは予選でリッケンバッカーに敗れていた。クレマンやリッケンバッカーがB・i・R・Dに参加したのを見て、彼も母国のアタックチームに加わったのだ。
 ソラのライバルであるシンガポールのロナルド・ホフマンも、ソラがジャパンチームに加わったのを知り、エリート銀行員の安定した仕事を捨てシンガポールチームに参加していた。
『ムッシュとハンスさんは五歳違う。でも年齢を考えたら、ムッシュはやはり凄い。あそこから逆転して勝つとは』
“だあっ、それが弱気だってんだ! いいかソラ、プロのチャンプがオマエを鍛えてんだぜっ”
『分かった。後は明日に向けてまた集中するだけさ。今夜は何を食べようかな』
 ソラが大きく息を吐いたとたん、乱暴にドアが開かれた。
「ソラ、やるやん! ジャパンアタックチーム唯一の決勝進出やで」
「二重国籍だからオリンピックに出られなかったなんて、ホント勿体ないわ!」
「兄さん凄いっ、明日も見に来るからね!」
 仲間や弟、その友人らが総出でソラを取り囲む。




February 11st PM08:00

「じゃあお先に失礼します」
 図書館のシフトが遅番だったウミはタイムカードを押して中央図書館裏口から街へと出た。携帯電話の電源を入れるとソラからメールが来ていた。
「……決勝進出おめでとう」
 ウミは小さく微笑んだ。幸い明日はシフトは休日だったので、決勝を見に行くこともできる。

 遅くなったので夕食は軽めにと馴染みのイタリアンレストランに足を向けた時、ふと何かを感じ、ウミは夜空を見上げた。
「……マザー?」
 月星人のリーダーである、冥王星にいる『マザー』からの警告だった。
『何が良いことで、何が悪いのか。よく考えて。
考えを操ろうとするモノを、許してはなりません』
「マザー……」
 やがて歩きだしたウミがマフラーを巻き寄せたのは、二月の宵の寒さのせいだけでは決してなかった。




February 11st PM08:10

「ソラ、叔父様から電話よ」「え、あ、はい」
 ジャパンアリーナのレストラン『パロット』でサヤと夕食中のソラに、梓グレートママが通話インカムを手にやってきた。
 食べかけていたビーフシチューを置いて、サヤに許しを得て、ソラは通話を開始した。
「叔父上。なにかありましたか? まさかテラがっ」
「ソラ、テラから聞きましたよ。記録会で決勝進出おめでとう。明日は必ず帰ってきなさい。お祝いをしましょう。出撃がない限り帰宅してもよいと真柴様から許可もいただきましたから」
「叔父上、そんな……」
 苦がるソラの爪先を踏んづけるのはサヤだ。
「なに遠慮してんのよ。叔父様に感謝しなさい!」
 小声ながらもサヤに凄まれ、ソラは記録会が終わりインタビューなどが終わり次第帰宅することを返して、電話を切った。
「よかったわね。叔父様も鼻が高いんじゃないの?」
「多分テラです。大袈裟に叔父上に言ったんでしょう」
「明日は代わりに私が出るから、ソラ、あんたは必ず帰りなさいよっ」
 サヤにまた凄まれた以上、明日は記録会が終わればおとなしく帰宅するしかなさそうだ。


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