二についての詩集を出したので、「二」に敏感になる癖がぬけない。
本日、ギリシャ語で「デウテロス」という語に会っていろいろ考えた。「デウ」とは「デュオ＝２」の変形したもので、「テロス」は比較級を表す語尾。そのまま読めば「より２である」という形容詞だ。
「デウテロス」の意味は� 蔽噂磴塀臠屐烹家嵬椶痢�第２位の 次の �◆併�間的に）後に続く 次の ��（序列的に）二義的な、二流の 〜より劣った――など。
同じ「デウ」に最高級語尾「タトス」を付けた「デウタトス」という語もある。そのまま読めば「最高に２である」となるが、辞書には「最後の」とある。２を極めると「ビリっけつ」となるのか。ビリはもはや「２」とは無関係と思えるが、「２」の名のもとにけなされるとは。オリンピックで「銀メダルは敗けてもらうが銅メダルは勝ってもらう」とか言っていた選手がいた。似た心理かもしれない。「２」はそんなに悔しいのだ。
「３テロス」（より３である）とか「４テロス」（より４である）という語はないようだ。一番を逃した「２」だけがプラトンの言う「劣ったもの、悪しきものの初めである」という栄誉を担っている。人間といえども動物の一種にすぎず、雄と雌が２となって本能に促されて子をなし種族を存続させる。それらは汚れた系譜にすぎない。汚れを知らぬ「１」こそ「善と美、完璧さの原理」であり「神」なのだと信じる人から見たら、「２」を穢らわしいと思っても当然で、別の道を行けばいいと思う。「私」が「あなた」に話しかける人間の「言葉」も「２」の中にあり、息がかかったりして不潔ではないか（コロナだって感染しちゃう）と言われれば反論もできないが、世界が始まる前からあるという清らかな「１」の「言葉」よりも、私は汚れていても本物の言葉が好きなのだ。
ただの「２」ではなくて「より２」（デウテロス）だとか「最高に２」（デウタトス）だとか考えた古代ギリシャの人たちは、結局「２」が（けなしながらも）好きだったんだろうなぁと思うのであった。「３」が好きな民族とか宗教とか哲学者も多いけど、その件については私の担当ではない。
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