古典ギリシャ語では蕾がふくらむことを「ブリュオー（βρυω）」という。これが英語のblow（花が咲く）などの源だろう。先週のわが家のギリシャ語小テストに出てきたのを思い出した。今は蕾の季節である。
�…悗硫屬礼押＼屬�飛び出してきそうである（やや遅めの木かも）。
�∈�の花の蕾 空を花だらけにしようとする潜在力がこわい（この木は毎年いち早く咲く）。
��辛夷の花の蕾 ふわふわ毛皮めいてうらやましい。
ところで蕾をみると、それが膨らんでついに花開く瞬間を描いた吉野弘さんの「burst（花ひらく）」を思い出す。永年勤続表彰式で従業員が突然叫び出す。「魂の話をしましょう、魂の話を！なんという長い間、ぼくらは 魂の話をしなかったんだろう」--そうして彼はつめたい汗をふいて倒れる----発狂 花ひらく。
花が咲くことは蕾の破れであり爆発である。「blow 」(花開く)も最初に出てくるのは「殴打」「銃の発砲」「爆発」である。「burst」も（花ほころびる）の意味もあるが、最初に出るのは破裂、爆発、砲撃、破壊だ。
蕾をみるとまずそのイメージを思い出してしまうのは、吉野さんの詩の呪縛から逃れられないからだろう。詩とはそのように恐ろしいものだが、それは言葉そのものに秘められていた恐ろしさを詩が抽出するからである。
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