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2017年10月09日08:56

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エピソードEX5(リレー)その17

マイミクの綾華☆☆様のコミュニティにおけるリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』に更新がありましたのでお知らせいたします。

なお綾華☆☆様のコミュは下記のアドレスです。シリーズ本編をご覧になられる場合はこちらへお回り下さい。参加は綾華☆☆様の承認制ですが、申請はどうぞお気軽に。

「ZERO Another BALLAD」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=5150160&_from=subscribed_bbs_feed


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EXリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』
MF

take-17

January 26th PM09:50

「ゼロ……」
 夜空に炸裂する光から出現した赤と青の鮮烈な姿に一瞬目を奪われたサヤの耳に、真柴リーダーの無線が飛び込んでくる。
>ガレリアスはゼロに任せ、各機円盤生物を殲滅せよ!<
「ラジャー!」
 答えて上昇するサヤの眼前でバロンが、そしてワルキュリアが雲霞のごとき敵群へと突っ込んでゆく。まるで機械のごとき正確無比の動きと射撃で敵を撃ち抜くワルキュリア。だがその前方で繰り広げられる光景にサヤは再び目を奪われる。
「す、凄い……っ」
 見慣れたはずの僚機の姿が一個の暴威と化していた。あくまで冷静さを失わないソラのワルキュリアとは対照的に、鋼鉄の猛獣さながらに敵群の只中に暴れこみ跳ね回る超戦闘機が周囲で爆散する紅蓮の炎を照り返す。本来の色さえ定かならぬその姿が屠った獲物の返り血を全身に浴びた悪鬼に見え、思わず固唾を呑むサヤ。瞬間、バロンがこちらに放つミサイルの弾幕! 反射的に回避したカマエルのいた位置でごっそり削られる敵の群れ!
>何ぼうっとしているの!<
「は、はいっ」
 操縦桿を握り直すや大きく数を減じた敵にサヤも挑みかかる。黒きオーラの尾を軌跡に引く悪霊のごときバロンから己が視線を引き剥がし、これほどの魔神の怒りを一身に浴びたバロン本来のパイロットの運命に気を奪われぬよう集中しつつ……。



January 26th PM09:55

「だめです、まだ意識が戻りません」
 昏睡状態のタカフミの枕元から顔を上げた看護師に頷き返し、湊医療部リーダーはついぼやく。
「タカフミが撒いた種ではあるが、まったくリーダーにも困ったものだ」
「なにがあったんでしょうか?」
 訊ねる看護師に首を横に振る湊リーダー。
「世の中には知らないほうがいいこと、知るべきではないこともあるのだよ。おそらく今、彼は自分が体験したことを潜在意識の奥底へと押し込めているのだろう。目覚めた彼自身に訊ねても、君は答えを得られないと私は思うよ」



January 26th PM10:00

「バリアを張った。我らがいる限りこの店は安全だ」
 耳打ちする弟に小さく頷き返し、海原大和と名乗る兄は急須を取り替える元蕎麦処「芭蕉」の老妻に頭を下げる。
「遅い時間に押しかけたうえ居座る形で申し訳ない」
「いや、警報が解除されないうちは外へ出ちゃいかん。なんなら泊まっていきなさい」
「かたじけない」
 元店主に頭を下げる弟武蔵の横で、兄は続きを話し始める。
「いま見ていただいたニュースのとおり、5月にはこの地区復興の一大イベントが催されます。その場に我らも以前ご紹介したプロジェクトにて参加すべく蕎麦打ちの改良に努めております」
「ですがシティにはたちの悪い食い逃げ犯が横行しているとのことで、その対策もロボットに盛り込めないかという話になっておりまして、暮れにはこちらも被害に遭われたと聞いてお話を伺いにきたのです」
 双子の工学部講師に主は悔しそうな面持ちで頷く。
「年の瀬にひどい話ですわ。貧乏くさい5人組で、あんまりひもじそうな顔だったんでつい情にほだされ大盛で出したんですが、それをあっというまに平らげて店を飛び出し姿をくらましよりました。店の表に出たときは影も形もありませなんだ」
「あとでご近所さんに聞いたら、このあたりのお店のほとんどは被害にあってるそうなんです。とにかく足が速いらしくて」
 いい添えた妻に頷き返し、双子の講師は姿勢を改める。
「その逃げ足を思えば、我らはやつらは地球人ではなく宇宙人に違いないと考えております」
「宇宙人が蕎麦を?」
 顔を見合わせる老夫婦に、二人の講師は話し続ける。
「あの逃げ足では走って追っても間に合わない。空を飛ばせるしかないのですが、そのためには動作モードを切り替える必要がありまして、侵略宇宙人にとっては大敵にあたるウルトラマン型に変身させようと考えているのです」
「その場合モード切替の基点となる特殊な動作、つまり変身ポーズが必要となるため、これまでのご厚意に対するお礼に主どののお好きなヒーローのポーズを採用させていただきたく伺った次第です」
 いわれて主は腕を組んで唸る。
「なにせ時代劇専門なので、印籠を出すとか桜吹雪ぐらいしか思い当たらんのですが……」
 そういいかけて、ふと思い出した風情で手をたたく元店主。
「そうそう、映画で昔こんなのがありました!」



 老夫婦に礼を述べ家の表に出た双子の顔に、遅い曙光が彩りを添える。
「いくぞドリアン。帰ったらすぐ情報収集だ!」
「ああ、これで我らも主どののご恩に報える!」
 紫雲たなびく冬空に昇る異星の太陽に、双子の宇宙人は誓いを新たにするのだった。


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