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2017年08月23日21:43

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エピソードEX5(リレー)その12

マイミクの綾華☆☆様のコミュニティにおけるリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』に更新がありましたのでお知らせいたします。

なお綾華☆☆様のコミュは下記のアドレスです。シリーズ本編をご覧になられる場合はこちらへお回り下さい。参加は綾華☆☆様の承認制ですが、申請はどうぞお気軽に。

「ZERO Another BALLAD」
http://mixi.jp/view_community.pl?id=5150160&_from=subscribed_bbs_feed


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EXリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』
綾華☆☆


take-12

January 26th PM08:45

「では、これにて本日の会見を終了いたします。なお来月15日に再び会見を開催し、その時には皆様より寄せられた質疑に返答させていただきます」
 隙なくダークスーツを着こなす夢野市市長が深々と頭を下げて緊急会見は終わった。市長が円谷英二社長と共に会見室を去ってもなお、筆頭秘書はマスコミに囲まれていた。

 そしてここアリーナでも、会見室に残る光成号令補佐官がマスコミ対応に追われていた。補佐官に促されて控室に下がったミラクル・ワイルド・セブンの面々。そこへ合流したテラが真柴リーダーに駆け寄る。
「ツクヨさん! 綺麗だった。素敵だった! タカフミさんありがとうっ」
「テラちゃん来てくれて嬉しいわ。ねえ口紅濃いくなかった?」
「ううん全然。いつも通り綺麗だよ! 女優さんみたいっ」
「いやーん! テラちゃんってばもう正直なんだからっ」
 いつも通り二人だけの世界に入り込む歳の差カップル。それを見てすかさずレオンが立ち上がった。
「じゃ、じゃあヒトミ。ミッションルームへ戻りますか。あまりカラにするのも」
「そ、そうねレオンりん。いつ怪獣来るかわかんないからね」
 そそくさと立ち去るレオンとヒトミ。二人とタカフミが今夜の不寝番だ。

 そのとき背後に咳払いを聞いたテラが振り向くと、眉間にタテジワを寄せたソラがいた。
「……テラ、分かったからもう帰るんだ」
「え〜っ、どうして? 兄さん」
「どうしてじゃないだろ! 卒業試験の真っ最中だぞ! 落としたらどうするんだっ」
「え〜っ! 兄さんのケチ! そりゃ晩御飯は叔父上と食べてきたけど、ツクヨさんとお茶くらいしたっていいじゃない!」
「出席日数ギリギリなんだぞテラ! 試験に落ちたら卒業出来ないだろ!」
「ちょっとくらいいいでしょ。大嫌いな物理の勉強で頭がパンパンなんだからっ」
 亡き父たる宇宙物理学の天才科学者、天河靖彦が草葉の陰で泣きそうなことをいうテラに対し、ソラもついクドクドしく説教。するとそれに噛みつくテラ。珍しく噛み合う兄弟を見かねて、倉澤チーフが二人の間に立つとテラの肩に手をおいた。
「テラ君、フミタケが心配してるぞ。テラっちちゃんと勉強しろよ。でないと一緒に卒業パーティー出られないぞ。大丈夫か? って」
「テラちゃん、ユカリも心配してるわよ。みんなで制服がベタベタになるまでジュースシャワーしようよって」
 横からチーフを援護するサヤ。倉澤チーフの長男フミタケとサヤの腹違いの妹ユカリはテラの友達であり同級生だ。
 常にトップクラスの成績に運動神経もよく、また生徒会副会長も勤めたフミタケは、三月の本試験には夢野市立大学医学部を受験するが合格間違いなしの折紙つきだ。。
 亡き母と同じく声楽の勉強をしつつも、ユカリは警察官になりたいという夢のため剣道やランニングを続けたり、苦手な数学にも真面目に取り組んでいる。
 そして絵画の才能こそは天才的であっても、勉強嫌いで運動神経も鈍い、平和でおっとりとしたテラ。気質も性格も全く違う三人だが、なぜかとても仲良しだ。

 ここ夢野市にある高校では、卒業式の夕方に卒業生達が夏場のみオープンな市営ファミリープールのプールサイドに集まり、みんなでパーティーを開いてジュースシャワーをして喜ぶ。優等生も落ちこぼれも卒業したら全員参加だ。この一生に一度のイベントに参加できるか、テラはまさに崖っぷちなのだ。ツクヨさんとのお茶にも劣らぬ重大事をさすがの弟も思い出したのを見て、ソラはここぞとテラを諭した。
「約束したんだろテラ。フミタケ君やユカリちゃんと一緒に卒業パーティーに出るって。卒業できなかったらパーティーに出られないぞ。あと一日がんばるんだ」
「……うん、約束したんだ。一緒に卒業しようって。兄さん、今日は帰る」
「分かればいいんだ。テラは父さんの息子なんだから。ではリーダーすみません。テラを連れて……」
 そこへ小走りでやって来たのは、梓グレートママこと本村梓生活部リーダーだ。
「あ、ソラ。貴方にお客様よ」
“さては井上のオッサンか? えらい日焼けしてたよな”
「はい。あ……、でも」
 ソラがとまどうのを見て、真柴リーダーが皆に支持を出す。
「サヤ、テラちゃんを送ってあげて。それからチーフは明後日の午後まで休みなんだから帰宅していいわ」
「そうですか。では私は帰宅します」
「テラちゃん、さ、行きましょ」
「テラ、ちゃんと勉強するんだぞ」
「うん。じゃあねツクヨさん、それからタカフミさんもありがとう。おやすみなさい」
 倉澤チーフ、サヤとテラ、ソラに梓グレートママは並んで控室を出た。なぜかそこでゼロが大きく安堵するのを、ソラは訝しく思ったのだった。


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