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2012年11月06日19:42

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遥かなるネファーリア〜ある同人誌を読んで

穴混んだ様からお届けいただいた同人誌「ネファーリア幻夢譚」を読了いたしました。以前僕も3つのお話を書かせていただいた懐かしき世界を舞台とする一冊でもあり、とても感慨深いです。とはいえ場所も時代も異なるという設定ですので、名前が同じというだけの別物ではあるわけですが。

暗黒時代ゆえにきちんとした史実が記録に残らなかった人物たちの姿の一端を、後世の作家たちが描いたものを一冊に纏めたアンソロジーというアイデアが実にいいと思います。3つの小説と1つの断章からなるささやかな手綴じ本ですが、往時であれば綴じるのもホッチキスではなくつる草を寄り合わせたものを紐代りに使っただろうなあと思うも一興。紐解けば国を立て直す志も空しく倒れていったらしき人物たちのありし日の姿が時系列に従って配されているという趣向。最初のお話の時点ではまだ大いなる運命に陥る以前の曇りなき日々の姿が点描されていた2人も、最後のお話の時点ではもはやこの世の者ではない。それほどの年数が過ぎたわけでもないにもかかわらずというのが、なんともいえずぐっときます。

ちょっと惜しいなあと思ったのは、人物の容貌の描写がほとんどないので、性格の違いは描き分けられているとはいえ、短い間に5人が入れ替わりつつ登場するとなると、読者としてイメージを掴みづらい面があったこと。最初のお話に登場するクリスティーヌなど美貌という割りには髪や目の色の描写1つありませんし、彼女のピンチを助けた剣士も同様なので、僕はこのお話を読んでも剣士が女性だったとは夢にも思わず、後のお話で女性だと記述されていてびっくりというていたらく。読み終えてみれば5人が5人とも女性だったということで、なんとも極端なという印象は禁じ得ませんでした。書かれた方が女性が多かったことも影響したのかもしれませんが、せっかく前書きがあるのですから、描写しないならせめて「記録には諸説が入り乱れ混沌としているため具体的な描写に踏み込むには至らなかった」みたいなフォローがあればもっとよかったかもしれません。それにそんな状況であるなら大きな事件は伝えられても小さな日常は伝わらないでしょうから、あえてそういう話を並べるのでしたら、前書きにもそんな場面をこそ想像することでその人物像に迫ってみたというような宣言があってもよかったのではとも思います。

などとずいぶん偉そうなことも書きましたが、それらも含めて楽しませていただきました。なんだか僕も久しぶりにネファーリアでのお話を書きたくなってきたみたいで、魔神と契約したことで勢力を伸ばした帝国がメデューサを守り神とする岩砂漠の小さな部族に襲いかかるお話のイメージがちらっと頭をかすめたりするあたり、進歩がないというかなんというか(汗) 万が一そんなことになった暁には、なにとぞよろしくお願いいたします。

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