「ベリアルを主とする以上、貴様も抱え込んでいるはず。やむことなく忠誠を強いる「声」を。だが貴様は主の意をいまだ知らぬ。だから味方であるはずのダークロプスとも行動を共にできずにいる」
「あんな屑が味方だとっ?」
「人の話は最後まで聞けっ」
気色ばむ魔人を一喝する鋼鉄の武人。
「ならばなぜ貴様がダークロプスどもを憎むか言ってやろう。貴様は自分がいるべき位置を奴らに奪われたと感じているんだ。だがベリアルが貴様と奴らに違うことを命じると思うか? にもかかわらず、貴様は奴らを爆破させた。どれほど異常なことか、わからぬ貴様ではあるまい?」
押し黙る黒き戦士。
「ダークロプスどもは人形だ。考えず、疑問も抱かずただ実行する。だが貴様の自我と誇りは己が人形として行動することを許さない。だから貴様はベリアルの真意を探り、理解した上で従おうとしている。そしてそれを見い出せていないからこそ、同じ命を受けているはずのダークロプスを嫉妬のまま破壊している。違うか?」
「……知ったふうな口を。さてはあの銀色の戦士の入れ知恵かっ」
「ここまでは。だがここからは違う。同じロボット同士、命持たぬ身ゆえのことと知れ!」
意外ななりゆきに固唾をのむ一同をよそに、言葉を継ぐ腕なき武人。
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