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2016年02月04日00:06

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エピソードEX5(リレー)その1

マイミクの綾華☆☆様がスタートされた新たなリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』 いよいよ本編のスタートです。

なお綾華☆☆様のコミュは下記のアドレスです。シリーズ本編をご覧になられる場合はこちらへお回り下さい。参加は綾華☆☆様の承認制ですが、申請はどうぞお気軽に。

「ZERO Another BALLAD」
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EXリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』
MF

take-01

January 26th AM11:40

「イベントの共催ですって?」
 応接室で思わず顔を見合わせる真柴リーダーと光成補佐官に、ダークスーツに身を固めた夢野市市長は慇懃な態度で頷き言葉を継ぐ。
「昨日の戦いで実に素晴らしい隠し玉を見せていただき考えついた次第ですが、あれほどの目玉があれば成功間違いなしと踏んでおります」
「隠し玉もなにも、あなた方なら先刻承知だったはずでは?」
 相手の出方を試しにかかる女隊長に、だが老人に身をやつした異星人はどこまでも慇懃な姿勢を崩さない。
「私も分はわきまえているつもりです。あれを秘しておられ、そしてこのタイミングで使うに至った事情もあえて伺うつもりはありません。私としては市の財政逼迫をなんとかしたいだけなのですよ」
「夢野市は日本一の黒字財政のはず。あの潮汐発電所からの電力を他の自治体にまで売っておいでではなかったですかな?」
 光成補佐官がそういうと、筆頭書記が一冊のファイルを机に置いた。
「この場では最初の概要を見ていただくだけで結構ですが、この写しは手続き上必要でしょうからお渡しします」
 いわれてファイルを開く真柴リーダーと光成補佐官だったが、やがて顔を上げたとき、女隊長の表情は得もいわれぬ渋面と化していた。
「これは、先月の」
「さよう。こちらの隊員を模して作られた超巨大ロボットにより当市が被った被害額のまとめです。当座の資金集めは私もコネを総動員してなんとか確保しましたが、当事者であるB・i・R・Dからの拠出はいただいておりません」
「B・i・R・Dの予算はすべからく防衛予算です。直接補償に使うことは制度上できません」
 光成補佐官の言葉に鷹揚に頷く異星人の夢野市市長。
「もちろん存じておりますよ。だからこそのイベント共催の提案なのです。もちろん共催である限り、上がりを全部いただこうなどと大それたことをいうつもりはありません。ただ」
「……なんでしょうか?」
 どこまでも食えない姿勢を崩さない市長の顔に暴き立てるかのごときまなざしを向ける女隊長。だが底にメデューサさながらの剣呑さを秘めた鉄のワルキューレの眼力を前にして、ウルトラ一族とさえ互角に渡り合う実力を持つ黒き賢者は全く動じる気配も見せない。
「あの戦いが今なんと呼ばれているかはご存じでしょう? 誰が言い出したかは存じませんが、誰もが史上最低の侵略と呼んでいるのが現状です。残念ながらB・i・R・Dの理想的とはいえぬ対応により、街中がゴミの山に埋もれた惨状も含めてのことですが」
「商売上手であらせられますこと」
「恐れ入ります」
 精一杯の皮肉に慇懃に返す市長の隣で、新たなファイルを取り出す筆頭書記。
「これがイベントの実施要領案です。むろん今後の協議の叩き台に過ぎませんが、B・i・R・D門前の市有地を誰もが無料で入れる出店市スペースに、そしてB・i・R・D滑走路では件の復刻戦闘機を目玉にした航空ショーを開催。こちらはチケットを買わないと入場できない仕組みにすることで、一定の秩序を保とうというわけです。出店の収入は多かれ少なかれゴミの被害を被った店や企業に全額受け取っていただき、チケットの収入をしかるべき比率で分け合おうという構想ですが、どんな比率が妥当かはそちらでもご検討願えましたら幸いです」


January 26th AM12:20

「ずいぶん航空ショーにこだわってましたな」
「どうせなにか狙いはあるんでしょうけれど」
 「B・i・R・D感謝祭」(仮称)と題されたイベント実施要領ファイルをめくりながらの光成補佐官の言葉に憮然たる表情で頷く真柴リーダー。そのときコンソールから鳴る着信音。
>昨日の戦いに関する各局の報道映像です<
 情報部員の声に続いてモニターに画像選択メニューが映し出される。なんということもなく観始めた二人だったが、それはたちまち彼らの注意を引きつけた。ウルトラ戦士が主役になりがちな普段とは異なり、どの局も往年の名機が天駆ける姿とそれを見上げる人々の顔や声を前面に押し出していた。そこでの人々の表情や声は、恐るべきベルセルク星人の宣戦布告以来絶えてなかった力強く、希望に満ちたものだった。


January 26th AM12:25

「気づいたでしょうか、彼らは」
 クラウンを運転しながらの筆頭書記の言葉に、後部座席で首肯する夢野市市長。
「滅亡の危機に瀕したとき、絶望に陥ればもはや破滅は免れぬ。私の星でさえそうだったのだ。地球人自身が絶望に陥れば、私がここまで育て上げたこの安住の地もまた失われ、多くの者たちが再び暗黒の宇宙をさすらうこととなる。それは避けたい……」
 そんな呟きをエンジン音でかき消しつつ、黒塗りのクラウンは市庁舎に向け走り去るのだった。


リレーその2 →
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