イスラエルで考古学者たちが、ネアンデルタール人以前のホミニンが使用していた洞窟を発見した(写真)。彼らは少なくとも約40万年前にこの洞窟で暮らしていたとみられる。この時代についてはほとんど知見がなく、当該の洞窟は科学者が調査できる数少ない遺跡の1つとなる。
◎ネアンデルタール人や現生人類の暮らした石灰岩洞窟が発達
洞窟はイスラエル北部ハイファの南のフレイディス(Fureidis)という町の郊外に位置している(地図)。建設工事の影響を受ける予定だったことから、考古学者たちが調査を行うことになった。
イスラエルには9年前に旅行で訪れたことがあるが、ほぼ全土が石灰岩剥き出しの荒れ地だ。イスラエルに入植したユダヤ人たちはここを開墾して緑地に変えたが、石灰岩地帯だけにあちこちにネアンデルタール人と現生人類ホモ・サピエンスの暮らした洞窟が発達する。フレディスも、こうした洞窟の1つだ。
1970年代の研究者たちは当初、この洞窟は約20万年前にホミニンに使用されていたと考えていた。
◎ハンドアックスやスクレイパーなどの石器
イスラエル考古学庁の考古学者コビ・バルディ博士と同僚の同僚のロン・シメルミッツ博士は、この洞窟が古く見積もると約40万年前の居住空間としてホミニンに利用されていたことを明らかにした。なおシメルミッツ博士はハイファ大学考古学准教授を務める。
この洞窟で両博士はハンドアックス(握斧)、皮なめしに使用するスクレイパー(掻器)などのフリント製石器を発見したことから、この年代を特定した。これらは当時この地域に住んでいたネアンデルタール人以前のホミニンに関連するアシューロ・ヤブルーディアン文化に特徴的な遺物だ。
◎火の使用跡とたくさんの動物骨
研究チームはまた、ダマジカやガゼルなどの動物の骨(写真=ダマジカの歯)、火の使用跡も発見した。
これは、大規模なホミニン集団が洞窟で共同生活を送り、野生動物を狩り、火を利用していたことを示唆する。
ただ現在までのところ、この時代の洞窟からは重要な人類の遺骨は1点も見つかっていない。もし40万年前のホミニンならまだ死者を埋葬する意識は生まれていないので、洞窟で墓を見出すのは難しい。しかし子どもの歯程度は、今後の発掘で出土する可能性はある。
◎人類遺体は埋まっているか
フレイディス洞窟の埋蔵タイムカプセルは、下部旧石器時代末という特異な時代に属している。アフリカで出現した現生人類ホモ・サピエンスとヨーロッパで進化したネアンデルタール人とが優勢となり、多くの地域へ広がる直前の時期だ。
「この重要な時期に属する遺跡は、イスラエルやより広いレバント地域でもごくわずかしか発見されておらず、そのほとんどは研究目的で立ち入ることができない」と、シメルミッツ博士はフレディス洞窟調査の意義を説く。
研究者たちはこの洞窟で大規模な調査を計画しているて、それにはおそらく数年を要するとみられる。大きな狙いは、ホミニン化石を見つけることだ。石灰岩洞窟という地質条件からここでヒトが死に、放置されれば(前記のように埋葬は期待できない)、肉食獣の食害さえ免れればヒト化石の発見も夢ではない。
さらに火の集中的利用と豊富な動物骨も、古く見積もれば40万年前、新しくても25万年前のアシューロ・ヤブルーディアン文化の人たちの生活様式の復元も可能になるだろう。
注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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