鹿児島県の屋久島と奄美大島の間にあるトカラ列島の中之島(地図)で、国内では45年ぶりに新種の鳥が見つかったと、山階鳥類研究所と森林総合研究所が発表した。
◎1000キロも離れた島間で
「トカラムシクイ」と名付けられた手に乗るサイズの鳥で(下の写真の上と中央)、伊豆諸島に生息する「イイジマムシクイ」(下の写真の下)に似ているが、DNA解析や鳴き声を調べた結果、別の種であることが分かった。
調査した山階鳥類研究所の齋藤武馬研究員(分類学・系統学)は、かねてから1989年に発表の論文でイイジマムシクイと同種の鳥が中之島にいるとされていることに疑問を持っていた。何しろ伊豆諸島とトカラ列島中之島の間は、直線距離で1000キロも離れている(図)。こんなに離れた場所に分布する個体群間では、何か違いがあるのではないか、と考えた。
◎イイジマムシクイと新種トカラムシクイは約300万年前に分岐
齋藤研究員らの国際研究グループが約10年かけて、両者のさえずり、脚の長さ、くちばしの先から後頭部までの長さを計測し、これらの違いから中之島の鳥は新種であることを明らかにした。見つかった場所から「トカラムシクイ」と名付けた。
DNA解析では、イイジマムシクイとトカラムシクイは280万〜320万年前に分岐したと推定された。これらの結果から、身近な鳥という生き物でも、まだまだ研究し尽くされていないこともあると分かる。
和名の命名が伴う新種の鳥が国内で見つかったのは、1981年に記載された沖縄本島のヤンバルクイナ以来45年ぶりとなる。
◎繁殖が繁殖の記録は中之島のみ、絶滅危惧
なおトカラムシクイはトカラ列島の中でもいくつかの島に分布するが、中之島でしか確実に繁殖している記録がなく、絶滅が危惧されている。
トカラムシクイの生息地では、松枯れやノヤギによる環境破壊、ニホンイタチなど外来動物による捕食の脅威など、生息環境の悪化が懸念されており、鳥だけでなく生息地を含めた保全対策が求められている。
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