mixiユーザー(id:20839049)

2024年04月03日16:44

19 view

「オッペンハイマー」クリストファー ノーラン監督

「オッペンハイマー(Oppenheimer)」
109HATシアター神戸にて。
2023年公開、2024年3月29日日本公開、
カイ バード&マーティン シャーウィン原作「『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇(American Prometheus: The triumph and tragedy of J. Robert Oppenheimer)」、
クリストファー ノーラン監督、
キリアン マーフィー、エミリー ブラント、
マット デイモン、ら。
本作品の主題とされている、
原爆開発の父と呼ばれたロバート オッペンハイマーの成功と苦悩、特に苦悩部分については、音響と映像による迫力とは別に、本日の鑑賞によりある程度伝わって来ました。それだけ感じいるだけでも雨の中でシアターに駆け付けつけた甲斐がありました。また、普段何気なく眺めている、
量子、分子、融合、分裂、物理学、、といった単語についても、改めて基本をお浚いしようと言う気持ちになりました。三時間の鑑賞中、色々と感じるところありましたが、なかなか文字を残すには至りません。忘れない内に少しだけ書き残しておきます。
私の理解力が乏しいせいなのかもしれませんが、
オッペンハイマーが苦悩したのは、スパイだったのかを疑われたからなのかどうか、自分が国家の為に注いだ能力と努力が大量破壊兵器の開発であった事に成功後に良心の呵責に耐えられなくなったからなのかどうか、与えられた仕事を成し遂げ技術的には成功を収めたが実際に人間(日本)の頭上で爆発させるという判断に至ったルーズヴェルト→トルーマンの政治判断に反対した自己の偽善に嫌悪感を覚えたためなのか、その政治判断を阻止出来なかった開発者であるが故の後悔なのか、、、、イチゼロではないにしろ、本作品だけで納得するには至りませんでした。少なくとも原作を読んでみなければ、と思わされます。
追い込まれたヒトラーの自殺の報を受けたマンハッタン計画関係者による「ナチスドイツに落とすという大義がなくなってしまった」→(ソ連が)「日本に落とせばいい」という会話がありましたが、敵であっても元々白人国家のドイツに落とすという狙いは最初からなかった、という説、は、どうなっていたのでしょうか。
マンハッタン計画の最終段階、米国ニューメキシコ州ロスアラモスにおける実験成功に狂喜乱舞する関係者の姿には私のみならず日本人としてやり切れない想いを抱かされるでしょう。
ナチスドイツやソ連との核開発競争には絶対に負けられないとする米国の中で、オッペンハイマーの側近研究所の英国人フークスが実はソ連のスパイであった事が後で発覚し、米国中での赤狩りが益々広がります。そんな中で、オッペンハイマーが苦悩に満ちた表情をしたままトルーマンと面談した後にトルーマンが「あんな野郎は二度と連れてくるな!」と側近に命じたという話はあまりにも有名ですが、オッペンハイマーを来賓としてホワイトハウスに招き入れた時のトルーマンの満面笑みと、追い出した時のトルーマンの恐いまでの表情のコントラストにはあまりにも落差がありました。
日本への原爆投下候補都市として「12箇所をリストアップしてある、いや、11箇所だ、京都という文化都市は外したから」という台詞がありましたが、私も近年迄はその旨を聞かされてそう思い込んでいたのですが、昨年から読んだりしている中では、どうやらその話も疑わしい、という理解をしかけています。
目を引いたのは、年齢は違えど同じ時代を生き旧知の間柄とされたアインシュタインとの会話です。オッペンハイマーが核開発理論?について書いた紙をアインシュタインに渡したものの、ゆっくりと吟味することなく、少しだけなぞるように目をした後に優しく微笑み乍ら「これは君のものだよ」とオッペンハイマーへ返したアインシュタイン、"開発者の責任を全うしなさい"とか、"始めた人間が最後まで責任を持ちなさい"と伝えているように解釈出来ましたが。ドイツ生まれのアインシュタイン、米国生まれのオッペンハイマー、共に没したのが米国ニュージャージー中プリンストンであった事を、本日初めて認識しました。また、ロスアラモスでの実験前、「実験の名称をどうする?」と聞かれたオッペンハイマーが迷わず「トリニティ(Trinity)実験と呼ぶ」と答えていた事です。トリニティとは、三位(神、キリスト、聖霊)一体、という意味なのですね。

核技術開発における当時のドイツ、米国、ソ連のそれぞれの状況、大東亜戦争の中で日米戦争へ突入せざるを得なかった当時の日本と日本を取り巻く状況、ヤルタ階段における頭越しの世界分割謀議、、、折に触れて近代史をなぞる機会も時々ありますが、前評判通り、本作品の中では、原爆を落とされた当事者である日本や日本人は一切登場しませんでした。本作品をテーマに、今年、何処かでシンポジウムが開かれるべきだと思います。
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年04月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930