mixiユーザー(id:6354345)

2023年07月16日08:49

59 view

風林火山伝 第2部 第48話 信長の遺骨探し その2

織田信長が武田信玄により討ち取られたときに金の仏像が発見された大きな穴の大きさは直径にして二間(約3.6メートル)、深さは一間(約1.8メートル)ほどあり、穴は人がすっぽり隠れることのできるほどの大きさであった。

石田佐吉は、はしごを使って、穴の中に入り、まずは穴の底の表面の土を調査したので
あった。すると、佐吉は、その表面の土が穴の壁の土の色と違うことに注目した。
壁の土は焦げ茶色であるのに対して、底の土は茶褐色だったのである。そして、佐吉は
穴の底の土を採取し、穴から出て、松永久秀にその土を見せたのであった。

「久秀様、この土をご覧ください。これは真砂土でございます。」
「その土がどうしたというのだ。」
「この真砂土は花崗岩が風化してできた土でございます。この土は火山地域にしか
みられず、この場所には存在することはありえません。おそらく誰かにより運ばれ、
盛られた土でございましょう。」
「お主、土のことが詳しいのう。どこで学んだのだ?」
「藤堂虎高様から学びました。私の幼馴染 高虎の父上にございます。」
「虎高殿か!あのものは土に詳しいからのう。それで、誰がいったい、いつ、どのようにしてその土を運びこんだと申すか?」
「この土の固まり方から推測すると、この土は今から約一か月前の元亀4年(1573年)2月頃に運び込まれたものと思われます。誰が運んだかについては、これだけの手がかりではまだ分かりません。さらに穴の底を詳しく調べとうございます。」
「うむ! 佐吉、ちょっと待て、この土には血の匂いがするぞ。この血の匂いは信長の
ものに間違いない。穴の中には、必ず、他に手がかりがあるはずじゃ。頼んだぞ!佐吉!」
「久秀様、血の匂いに敏感であることに驚きました。拙者には分かりませんでした。」
「なあに、わしは昔、信長と主従の誓をかわしたとき、儀式としてお互いの血を盃にいれ飲みかわしておる。信長の血の匂いは、しかと覚えておる。間違いない。」

その後、佐吉は再び穴の中に入り、今度は穴の底を木槌で入念に叩いてみたのであった。しかし、最初は何も異変はなかった。佐吉は、それでもめげずにひたすらに穴の底を
くまなく木槌で叩いたのであった。約半時後、佐吉は、ある場所を木槌の叩くと、違う音がすることに気づいたのであった。そして、佐吉はその場所を何度も力強く木槌で叩いてみたのであった。すると、底の土は崩れ落ち、そこに直径1.5尺(約45センチ)ほどの穴が開いたのであった。その穴の下にはどうやら大きな空洞があるようであった。しかし、暗くて様子が分からず、佐吉は日承上人より松明を借り、穴の下の空洞を松明で照らしたのであった。なんと驚いたことにその下は大きな隠し部屋になっていたのであった。
                                   
 つづく

1 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年07月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031