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2023年04月18日12:33

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「乱」日仏合作1985年公開、黒澤明監督、仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介、原田美枝子、ピーター、植木等、ら。 
夢を見た後、悪夢を見た後の記憶を作品に生かす、、という展開は如何にも黒澤監督らしいと思いました。三人息子との確執、兄弟同士骨肉の争い、側室による正室への執念と恨み、、等を目にするのは見ていて辛かったですが、世の中あるあるです。家族の断絶、といえば、ある意味、小津安二郎監督「東京物語」にも通ずるところありやなしや。
黒澤監督が本作品の題材にしたと言われるシェイクスピア「リア王」についてはあまり知らなくとも、もう一つの毛利元就「三子教訓状」からの教えなるものを知ったのは、実は生意気にも私が小学生の時でした。いろいろと揃えていたアニメの中の「オバケのQ太郎」シリーズ、全巻の中の何処かで、居候先の正ちゃんだったか、誰だったかが、オバQに対して「兄弟は仲良くしないといけません」と説こうと、先ずは一本の鉛筆を折らせた後、三本の鉛筆は折れないだろうと説得仕掛けるや否や簡単に折られてしまう、、という落ちをどうも強烈に記憶に留めていたのです。そんな瓜二つのシーンが黒澤作品の冒頭でお目にかかれるとは思ってはいませんでした。
老いぼれた戦国武将、一文字秀虎(仲代達矢)の長男 孝虎(寺尾聰)と次男 正虎(根津甚八)は
父である秀虎から試しを受けた三本の矢を通常の力の範囲としては折れなかった、というより無理には折らなかったのですが、三男の直虎(隆大介)は腕だけで折るのは難しいと悟るや足で無理矢理に折ってしまい、父親の弱気を批判し逆鱗に触れ親子の縁を切られます。が、最後は三男の直虎に頼らざるを得なくなった父 秀虎の没落と人間の弱さを演じていた仲代達矢もこれまでの理解以上に守備範囲広い俳優ですねえ。
しかし、
いかんせん複数のオーバーアクションと間延びについては残念な思いも残りました。黒澤監督最高傑作の一つと評されているようですが、時間と巨額の制作費をかけてここまでの大作を作ろうとは贅沢の極みだと思いました。黒澤監督が遺した未編集ドキュメンタリー「能の美」という紹介番組を観た後の本作品鑑賞だっただけに、ピーター演じる狂阿弥の戯けたような歌と踊りも個人的には大いなる抵抗を感じながらもそれなりに味わえました。
相続のみならず、生前贈与でも家族にヒビが入り揉めてしまう悲しさ、そして「殺し合わねば生きてゆけぬ人間の愚かさは、神や仏も救う術はないのだ」、という台詞、、いつの世も儚いものですねえ。
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