流浪の月

数年前に世間を騒がせた少女誘拐事件は加害者青年の歪んだ欲望が惹き起こした性犯罪と思われているが、実際は家庭に居場所のなくなった二人が寄り添う安住の時間だった。事件から数年後、成人した少女は社会復帰した青年と偶然に再会する。お互いの生活もある二人だったが両者は惹かれ合い、親密な時間を過ごすのだが世間にそのことがバレてしまい好機の目に晒されて警察も動き出す。
何とも言えない後味の李相日監督作。久し振りの監督作であるが後味の何とも言えなさはいかにも李相日節。
被害者女性役の広瀬すずはどう見ても広瀬すずにしか見えないが、加害者青年役の松坂桃李はこんな表情もするのか、というほどの変幻自在ぶり。松坂桃李って凄い役者かもしれない。広瀬すずは李相日監督の前作で身体を張った演技を見せたもののそれほどよいとも思えず、本作でも成長したような感じは特にしない。
愛のかたちは様々、とはいうものの愛と言ってよいのかどうか。他人が口出しすることでも無い気もするが、放っておいていいとも思えない。どうすればよいのか。
松坂桃李が全裸になるシーンがストーリーの肝な気がするのだが何が映っていたのか、あるいは映っていなかったのかが分からない。画面の奥の方にいて暗いし影になっているし、そこに何か秘密があったの？