最晩年の坂本龍一がステージにピアノ一台置いてこの映画のために自身の曲を弾きまくるモノクロ映像のライブ映画。
これは音響施設の整った劇場で見たい、と思って機会を窺っていて、プラスいくらかの料金を払って見ることができた。坂本龍一が音響監修をした新宿の映画館で見れればよかったのだが、映画一本見るのに4500円は払う気がしない。
自分のお金で初めて見たコンサートが坂本龍一だったこともあり、思い入れのあるミュージシャンではあるのだが、音楽の幅が広すぎてすべての曲のファンというわけではない。
後年は最小限の楽器でストイックに音楽を追及していった感もあり、自分にはついていけなかったのだが坂本龍一が到達した境地でもあったのだろう。
本作はそんな坂本龍一が到達した境地をピアノ一台で聞かせてくれる。しかしどの曲も悲しい。YMO時代の曲ですら悲しく聞こえる。
「シェルタリング・スカイ」のテーマ曲が沁みる。この曲ってこんなに美しかったんだ、と再発見。
モノクロ映像で坂本龍一の悲しい調べをよい音響で体験する、というのはある意味で至福かもしれない。
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