『御巣鷹山と生きる』美谷島邦子著、新潮社2010年6月25日発行。
本日は防災の日、関東大震災で犠牲になられた方々を想い、11:58:32を挟んで約二分間、黙祷を捧げました。天災や事件事故を問わず、この様に自分自身の中で毎年決まって掌を合わせる日が多くなっているのですが、8月12日もその一つです。私の実家近所に住んでいて、共に体育委員も務めた中学二年時の同級生があの520人犠牲者の一人であった事、今でも信じられない思いが捨て切れずにいます。御巣鷹慰霊登山は一度だけ参加しましたが、毎年8月12日を迎える度に胸が重くなり大きな力に押し潰されそうな圧力を感じて来ました。8・12連絡会から発行され続けている会報誌「おすたか」に目を通し、御巣鷹に散った同級生に関連する記述の有無を確認したかったので、連絡会に問い合わせていました。先週木曜日に「日航�螳汰歓篆碧槁瑤慙辰魴劼い世里婆笋す腓錣擦督困�たい」旨の美谷島事務局長からの御返事があり、早速 土曜日に新整備場駅近くにある日航ビルへ駆け付けました。休日にも関わらず、責任者の方から丁寧な御対応を頂き、用意されていた段ボールから会報誌「おすたか」を含む生々しい資料が重ねられたパイプファイル五冊の頁を一枚ずつ捲り続けました。主目的であった同級生に関連する記述を見付けには至らなかったのですが、出版されている書籍やネットで拾い読みする情報からは得られない空気や温度がそれらの各パイプファイルには立ち込めていました。三時間半お邪魔したのですが、帰り間際に併設されていた展示場を案内されました。尾翼を始めとする123便の残骸や、ボロボロになった客室座席や遺品の数々に足がすくみました。事故や事件の記憶を風化させない為にはやはりこういった現品の保存と公開が絶対に必要であると痛感させられます。広島の原爆記念館や横浜の北朝鮮工作船展示等を見学した際も相当に心が抉られましたが、世界最大の民間航空機墜落であったこの123便現品を目にし改めて強く脳裏に焼き付ける事となりました。改めて、、という言葉を繰り返してしまいますが、最後まで墜落を避けようとした懸命のパイロット、減速無しの時速約500kmで御巣鷹尾根に突っ込んだ事、シートベルトが胴体を瞬時に切り裂いてしまう事、ジェットコースター状態であった32分間のダッチロール、、、、等々の説明を直接耳にした後に茫然としながら新整備場を後にしました。エレベータ入口に貼られていた「確認会話の励行」ポスター、成る程、賛成です。
さて、、、、、
標記の書籍、日航�螳汰歓篆碧槁瑤愨�を運んだ帰路の図書館で借りましたが、日航機墜落事故後25年の遺族を取り巻く様子につき、此迄に関連文章を目にした時よりもより身近なものとして読了する事となりました。「満席」ではなく「殆ど満席」状態だったのですね。直前で123便に乗る事になった人、直前でキャンセルしたり人に譲ったりした人、、周りにもそういった運命紙一重だった人もいます。本書の著書であられる美谷島さんの9歳の息子さん(健ちゃん)は、日航の「ちびっこVIP」というサービスで一人搭乗し、大阪の伯父さん宅へ向かい、甲子園で高校野球を観て、大好きな阪神電車に乗る事を楽しみにしていた、と。その夏の甲子園で優勝したPL学園の清原選手や桑田選手らのチームから贈られた小さな帽子と千羽鶴、健ちゃんの隣座席に座っていた能仁千延子さんと手を繋いでいたはず、何度も探した近鉄バファローズの野球帽、「生と死は固く結ばれている、こちらからは死者は見えないけれど、あちらからは見えている」というある人の言葉、告訴、安易な幕引きは許さない、コメット機の連続墜落事故の調査報告例、遺族の分断を図ろうとした日航経営者、栄養士という資格と55歳から取得チャレンジした精神保健福祉士、社会への貢献、人はみんな役割を持って産まれて来た、、、等々ぐさりぐさりと心を揺るがされました。。。日航123便については、あまりにも沢山の情報が満ち溢れていますが、8月12日以外でも普段から更なる関心を払っていこう、と思います。
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