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2021年07月18日07:39

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風林火山第53話  千代保稲荷の伝説

1匹のきつねは武田信廉に向かい「コンコン」と鳴きだした。どうやらおなかをすかしているようであった。そして信廉はきつねの好物 油揚げを与えたのであった。きつねは喜んで「コンコン」と鳴いた。

その後、千代保稲荷神社の神主が現れた。神主は「こたびは、よく千代保稲荷神社を参拝いただき感謝申し上げます。わが神社は源八幡太郎義家公より「先祖の御霊を千代に保て」とのお言葉を賜り、義家公の子孫 森八海がこの神社を創設いたしました。私は第5代目神主 森海松と申します。このきつねはわしが飼っているきつねで、義家公が飼っていたきつねの末裔で千代源丸と申します。信廉様によくなつくのは、甲斐源氏として源氏の血を引くからでしょう。千代丸は、とても信仰心が強く、この地に毎年、豊作をもたらすという言い伝えがあります。しかしながら織田信長が美濃を攻略した際には、田畑が荒らされ、困っておりました。」

信廉は海松に「こたび、織田軍の羽柴秀吉と戦っており、苦戦を強いられ、一旦、軍勢をひき千代保神社に立ち寄り、武田家の繁栄を願った次第である。実はお願いがあるのだが、秀吉を討ち取るため、御神社の巫女を数人、お貸頂けないか?」と頼んだ。

海松は「巫女はいますが、わが神社には2人しかおりませぬ。しかもその巫女は我が妻と娘でございます、娘巫女はお貸することはできますが、恐れながらそれ以上の巫女をお貸するのはご勘弁頂きたい。ただし巫女が飼っているきつね4匹をお貸致します。これらはきつねではありますが、変身の術を持っており、美しい巫女の姿になることは可能でございます。」と答え、4匹のきつねを呼び寄せたのであった。

「分かった。それでは今、このきつねを美しい巫女に変身させてもらいたい。」と信廉が言った。

「承知いたしました。では、4匹のきつねを巫女に変身させて御覧に入れます。しばしお待ちくださいませ。」と言い、海松は4匹のきつねに赤色の汁を飲ませたのである。実はこの赤色の汁は、海松の娘の血であった。娘巫女は左腕を小刀で刺し、血を約4合ほど流したが、命には別状はなかった。

しばらくすると4匹のきつねは光だし、大声で鳴きわめき、天より稲妻がきつねめがけて落ちてきた。そして、しばらく煙に包まれ、煙が消えたあと、美しい4人の巫女が現れたのであった。
                                  つづく












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