mixiユーザー(id:20839049)

2020年07月08日18:25

40 view

三十三間堂通し矢物語

『三十三間堂通し矢物語』成瀬巳喜男監督、1945年6月28日公開、長谷川一夫、田中絹代、市川扇升、河野秋武、ら。
佳境を迎えようとする時代に公開されていた成瀬監督初の時代劇は、京都・三十三間堂における"通し矢"について。宿屋・小松屋の女主人 田中絹代に引き取られた市川扇升は、尾州家家臣の長谷川一夫に記録を破られて自害した父の無念を晴らすべく折れそうな気持ちを叱咤激励されながら通し矢記録八千本に挑むべく弓術の訓練に励みます。お家の記録を守る為に弟が競争相手の命を狙うという赤裸々な行為に対し、長谷川一夫は「卑怯な振る舞い」と非難し、過言事情に疎い市川扇升に対しては「貴殿の父上は勝負に負けた為ではなく、通し矢の厳しさに殉じられた。先人の達したものを後から来る者は越える務めがあります。」と伝え、世紀の大一番に野次馬、いや 熱心な民衆に囲まれる中、的中五千本を越えて疲れた市川扇升、勝手な判断で休憩を入れた後で全く的に当たらなくなったのは休息が肩に血を溜まらせた為である、と。田中絹代を通じた長谷川一夫からの薬と伝言で調子を戻せた市川扇升は見事に八千百三十三本の記録を達成したのだ、と。東宝作品なのに松竹京都撮影所が使われたロケと公開、もう敗戦色が感じられていたと言われる社会の中で決行された映画界の一致協力ぶりに様々な解釈解説が加えられていますね。そんな背景も興味深いですが、旅館「小松屋」に"行儀見習い"に来ていた田中絹代という設定も楽しめました。弓道衣や弓道って格好いいなあ、と眺めていた頃がありましたが、また京都の三十三間堂(蓮華王院本堂)に足を運んでこんな歴史を染々と味わい直したいものです。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年07月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031