「全世界が、ある、怖ろしい、見たこともない疫病の生贄となる運命にあった。
疫病は、アジアの奥地からヨーロッパへ広がっていった。
ごく少数の選ばれた人々をのぞいて、誰もが死ななければならなかった。
出現したのは新しい寄生虫の一種で、人体にとりつく顕微鏡レベルの微生物だった。
しかもこの微生物は、知恵と意志をさずかった霊的な存在だった。
この疫病にかかった人々は、たちまち悪魔に憑かれたように気を狂わせていった。
そしてそれに感染した者たちは、病気にかかる前には
およそ考えられもしなかった強烈な自信をもって、自分はきわめて賢く、
自分の信念はぜったいに正しいと思い込むのだった。」
(ドストエフスキー「罪と罰」)
悲しい夢。
他者との精神的断絶がもたらす不安、疑心暗鬼、恐怖、それは現代社会も例外なく当てはまる社会の描写であり、もしかしたらこれが人類の罪なのかもしれない。あるいは、人類に与えられた罰なのかもしれない。
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10年前の読書ノートのメモ書き。付け加えることはない。
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