寅次郎かもめ歌

『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌(26作目)』1980年12月公開、伊藤蘭、村田雄浩、ら。
キャンディーズ解散後に一息ついた頃の伊藤蘭、なかなか上手に演技をこなしていますね、感心しました。念願の新築を成し遂げた妹さくら達に対して「さくら、二階のこの空き部屋はなんだ？」→「お兄ちゃんの部屋よ」と嬉しい返事、映画を観ている者にとっても心暖まる台詞です。新築祝二万円を源公にたかる寅次郎にも呆れますが、感謝して受け取ればいいものを「多過ぎる」と釣りを返そうとする博達も喧嘩の原因を作っています。「何処の世界に祝儀に釣り銭出す奴があるんだあ！？」と怒った寅次郎は北海道へ渡り、テキヤ仲間が寂しく死んで行った事を耳にするや、お悔やみにと奥尻島江差町に足を運ぶとタイミング良く江差追分全国大会が行われており、映画後半にとらやで伊藤蘭がこの江差追分を歌う、という伏線になっていたのですね。あの世へ行ったテキヤ仲間の忘れ形見がすみれを演じる伊藤蘭、上京して恋相手と夜通し過ごした後に泣きながら謝りますが、寅次郎による「幸せになれるんだろうな、お前。もし、そうじゃなかったら俺、承知しないぞ」との励ましがハイライトシーンでした。2作目から満男を演じた中村はやと最後の出演でした。とらやに掛かって来た男からの電話に対して、「(伊藤蘭ほ)セブンイレブンというスーパーでアルバイトしています」と彼女の勤務先電話番号を無防備にも教えてしまう、さくら、、倍賞千恵子らしからぬアクションでした。寅次郎って中学三年生中退なので、定時制高校への受験資格がなかったのですね。ラストは徳島県鳴門のロケで締め括られていました。