「あの人が 山田君のもう一つの 秘密の宝物よ」
大切なものは 自分の胸の中に しまっておく
ときどき取り出して 少し眺めて またすぐにしまう
ぼくだけでいい 汚れるのも 傷つくのも
誰にも知られない その秘密の宝物は 死とともに消える
死とともに あとかたもなく消える
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「ただ、もうそんなことより ぼくは
あの人がいるだけでいいんだ
あの人がいて ぼくがいて あの人を見つめることが出来る
それだけでいいんだ」
ささやかな あまりにも ささやかな
祈るような ねがい
喜びも 悲しみもない そこにはただ 透き通った痛み
カッターナイフの切り口のような 一筋の
※「」内出典:リバーズ・エッジ(岡崎京子)
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