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2019年06月29日01:24

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さよならが言えなくて

『さよならが言えなくて(No se decir adios)』スペイン2016年、リノ・エスカレラ監督、ナタリー・ポサ、ロラ・ドゥエニャス、ら。国立映画アーカイブにて。年老いた父親の介護をしている姉妹がちょっとした事で病室を暫く離れている内に死に目に会えず、とのバッサリとしたラストシーンで幕を閉じました。親の面倒を見るにあたり、兄弟姉妹家族は支え合おうと言いながらもその役割分担を巡って感情が複雑に入り交じっていきます。ましてやそれぞれが家庭を持つと血の繋がりがない各家族達の都合も無視出来ずに絡まって来ます。いろいろと考えさせられてしまいます。無職の夫と一人娘とで三人暮らしをする姉(ロラ・ドゥエニャス)は父親の実家近くに住み、というよりも結果として残らざるを得なかった、と。不動産会社に勤めるキャリアウーマンの妹(ナタリー・ポサ)は仕事が終わると酒と男を求めて酒場へ出入りする日常。父親の介護段階が現実となり、そんな姉妹はお互いに嫌がおうにも今の生活を見直さざるを得なくなると同時に、これまで抑えていたものをお互いに出し始めます。そして自分達の父親の過去、それも知りたくはなかった過去を父親から直接聞かされてしまった妹は今となっては責める事も出来ず、包み込んで許してあげざるを得ない立場に同情させられました。姉は演劇という才能もあったのに、マドリードの学校へ通えればその道で生活出来るチャンスもあったのに、という悔いの念を誰にぶつける事が出来るのか、慎ましさというか奥ゆかしさというか、日本人が理解出来る感情のコントロールを抜群の演技でここでも控えめに魅せてくれたロラ・ドゥエニャスって大好きな女優の一人です。主役はあくまで妹役のナタリー・ポサだったんですが、私はよりロラ・ドゥエニャスに注目させられました。
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