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2019年06月24日12:24

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鳥よ翼をかして

『鳥よ翼をかして』1985年、井上梅次監督、沖田浩之、坂上味和、藤巻潤、萩尾みどり、永末英一元衆議院議員、ら。
帰還事業で北へ渡った日本人妻達を取り巻く叫びを伝える映画鑑賞に加え、これまで半世紀近くに渡る活動報告や脱北された方々の訴えを改めて拝聴しました。日本の国籍法上、日本人妻の方達が日本国籍離脱手続を取らない限り、単に北朝鮮に上陸しただけでは日本国籍を喪失せず、日本国籍を保有していることは明らかなのに、北には通用しない現実に打ちひしがれ、帰国した殆ど全ての人達が後悔と絶望の中で、騙された自分、騙した勢力を恨みながらあの世へ旅立った人が年々増えている、という現実に自由往来運動をリードして来た人達も既にまともな交渉は成り立たないと確信されている事がよく伝わっていました。全国的に訴える映画を制作するには一流監督と一流キャストを揃える必要があり、資金がない事には始まらないという当然の壁を乗り越えた本作品を制作するに際して、党派、宗派、イデオロギーを越えて協力を訴えた結果の協力者クレジットには あれっ?という団体名も見受けられたりはしましたが、そんな事よりも映画の迫力が凌駕していました。被害者達、御家族達の想いを汲み取られた井上梅次監督は石原裕次郎主演『嵐を呼ぶ男』を始めと数々のヒット作品を世に送っていますが、決して御涙頂戴に終始させず、日本海を隔てた母と息子の熱唱エンディングは観る者に目を背けてはいけない現在進行形の何たるかを突き付け続けていました。観たい映画だけを観る、では済まされない昨今を自省と共にまたまた思い知らされました。『続キューポラのある街 未成年(1965年)』で熱演された吉永小百合さんはこの映画を鑑賞されたのでしょうか。「帰郷」とか「望郷」とかとタイトルされて文芸作品は数多けれど、このテーマ程に「望郷」という単語がはまる問題は他になかなかな少ないでしょう。
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