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2018年10月07日06:19

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神秘主義とオカルト

あるトピックで、「鈴木大拙は心霊主義者である。」というようなことを言い出す人がいたので驚いた。しかも、心霊主義という言葉をオカルト的なニュアンスで論じている。どうやら、それは鈴木大拙が神智学会の会員になっていることからきているらしい。鈴木大拙が神智学会員であったことは事実である。それは奥さんであるベアトリスが神智学会員であったことが大きな要因として考えられるが、神智学の神秘主義的要素に彼自身が共感を覚えたということではないかと思う。

私はその方面には疎いが、ウィキペディアで神智学について牽いてみると、「神秘的直観や思弁、幻視、瞑想、啓示などを通じて、神とむすびついた神聖な知識の獲得や高度な認識に達しようとするものである。」とある。明らかに神秘主義的要素が含まれている。

ちなみに、神秘主義について、これもウィキペディアで牽いてみると、「絶対者(神、最高実在、宇宙の究極的根拠などとされる存在)を、その絶対性のままに人間が自己の内面で直接に体験しようとする立場のことである。」となっている。「禅はいわば宇宙と自分が一体になること」と表現すれば、禅と神秘主義が近しいものだと分かる。大拙居士が神智学に共感を覚えたとしても何の不思議もないのである。

しかし、前出の神秘主義の定義の「神秘的直観や思弁、幻視、瞑想、啓示などを通じて‥」というところを見ると、容易に疑似科学としての心霊主義やオカルティズムに流れてしまう要因をはらんでいることも間違いない。

しかし、禅は偏向を好まない。それはあくまで中庸に徹するものである、幻視や超越的な啓示はいわゆる魔境であり、単なる異常心理である。禅とオカルトはもっとも遠いところにある。

オカルティズムは「神秘学」と訳されるが、神秘主義と混同されやすい。そして、実際にその垣根は低いが、禅者にとっては峻別されるべきものである。
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