名誉○○

　美智子妃は日本赤十字社の名誉総裁ですが、来年には代替わりをする、とニュースで言っていました。その活動のダイジェストを見ると、頭が下がります。どこぞの「名誉校長」とはずいぶん違う雰囲気ですが、なぜなんでしょうねえ。

【ただいま読書中】『仮面病棟』知念実希人 著､ 実業之日本社、2014年（16年29刷）、593円（税別）
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　老人や行き倒れの人専門の古びた療養病院にアルバイトで当直にやって来た外科医の速水は、とんでもない事件に巻き込まれます。ピエロの仮面をかぶってコンビニ強盗をした男が、人質にした女を拳銃で撃ってしまい、「死刑にならないため」に病院にその女性を担ぎ込んで「治療しろ」と強要してきたのです。傷は幸い軽かったのですが、速水は手術室が不必要に立派であることと院長がなぜか院内にいることに不審を覚えます。もっともそんな不審は、強盗が「朝までここに居座る」と宣言したことで吹っ飛んでしまうのですが。
　しかし、チャンスがあるのに院長が警察に通報しようとしないこと、なぜかスマホが圏外になっていることから、不審は疑念に変わります。そして速水が病棟で入院患者の状態を見たとき疑念は確信に。
　この病院で何が起きているのかは、60ページくらい読んだところである程度わかります。というか、たぶん著者は読者に対して親切なのでしょうが、ちょっと伏線が露骨すぎ。『コーマ』（ロビン・クック）のような展開だったらもっとじんわりとそちら方面が楽しめたかもしれません。まあ、普通の読者だったら、コンビニ強盗の非常識な言動に気を取られて、病院の方には気が回らないのかもしれませんが。
　そういえば、人質を撃った後ピエロの強盗がその女性を連れて一直線にこの病院にやって来たのも不思議です。「殺したくない」というのなら、撃った女性をそのまま放置して逃げた方が最速でベストの治療が受けられたはず。さらに銃創が軽すぎるのも不思議です。みごとなかすり傷ですから。
　そして、ついに殺人事件が。密室、というか、密室状態の病院での殺人ですから容疑者は限られています。だから消去法で簡単に最有力容疑者は割り出せます。だけど、その動機は？
　推理小説としても医療サスペンスとしてもいろいろとアラはありますが、スピーディーで意外な展開は楽しめます。