爪を
親指の爪を押すと
迫真に押したら血が退き
夜明が絶望と波のように
おれのタキシードは黴ているが
自己へ甘え蜂蜜のようにくどく
甘く爽やかに出会った
時の砂と風、砂の
一粒一粒一粒、一粒
の重力を覚えてる?
退いた血が袋へ溜まった陰圧
爪を押しても光も無かった
遠ざけたモノタチが電圧で焦げて
眼の端へ廊下その先まで
世代の愛が
在るならば偽
耳を砕くような
潮騒
額縁の中の
偽りなき決定的死
決定的集団合成住宅
決定的な愛憎の先に何の言葉も
言葉も
何をみいていた
団扇の先の
ゆれる秋のさきぶれ、を
ドウダンツツジが生命を
蓄えているその様を
此処に団欒はある
祭で
蒸れた
脇を清拭する
かりそめのまろうど
白檀の香果てる処へ
命を燃やして燃やしても足らん
恥を繋がん恥は息吹
葉脈と潮の香が息吹き
無為無策
手が手と頬を薫風と
共に走り抜けるなら
涙は乾かない
乾かない、植え
続けるから
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