絹代の初戀

『絹代の初戀』1940年公開、野村浩将監督、田中絹代、佐分利信、水戸光子、葛城文子、ら。
誰かが言っていたように私もこの映画タイトルを目にする度に引いてしまい何故か直ぐにレンタルしたい気にはなりませんでした。が、歯の奥に物が挟まったような佐分利信の演技を久し振りに見ましたが、ボンボン育ちの常務役の佐分利信が、自分に対して唯一ズバズバと物を言ってくれる21歳の事務員役の水戸光子に惚れてしまって結局はゴールインしてしまう運命を肯定したくなります。佐分利信に街中で一目惚れしてのは姉の田中絹代だったのに、妹の幸せを優先させる太っ腹な所を田中絹代が見せます。姉である田中絹代より先に嫁に行く妹の水戸光子、姉でありながら亡きお母さんの分まで妹の面倒を見て振る舞いの指導を忘れない田中絹代の貫禄が光っていました。障子越しに映える嫁入り前姿のショットが素敵な作品です。草加煎餅屋で一枚一枚丁寧に煎餅を焼く田中絹代が微笑ましいです。水戸光子の妹役も板について見直しました。