『八月の狂詩曲(ラプソディー)』1991年公開、村田喜代子原作、黒澤明監督・脚本、本多猪四郎演出補佐、村瀬幸子、吉岡秀隆、大寶智子、鈴木美恵、伊崎充則、リチャード・ギア、ら。
リチャード・ギアって、やっぱり日本人受けしますねええ。広島原爆記念碑に主語が書かれていない話は余りにも有名ですが、長崎を舞台にしたこの映画でも、ハワイから長崎にやって来たリチャード・ギアが、「すみませんでした、私達悪かった」と長崎原爆で夫を亡くしたおばあちゃんに対して謝っている場面は、米国人であるリチャード・ギアが原爆投下を謝罪しているわけではなく、「私達」とは、「ハワイに移民した一家達」の事であり、「すみませんでした」は「おばあちゃんの夫が被爆死した事を知らなかった」事に対してであり、「悪かった」のはおばあちゃんが「長崎の人」なのに夫の死因に思いが至らなかった事である、という御丁寧な解説を事後に読みました。確かに、映画の中では何に対して謝っているのかが不明瞭でした。黒澤明は敢えて曖昧にして観た者に考えさせようとしたのでしょうかね。
何度も流されたシューベルトの「野ばら」が耳にこびりついています。
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