青春の夢いまいづこ

『青春の夢いまいづこ』1932年、小津安二郎監督、江川宇礼雄、斎藤達雄、田中絹代、笠智衆、坂本武、飯田蝶子、葛城文子、伊達里子、ら。
江川宇礼雄の二枚目振りが光っています。この頃の田中絹代って、気立てのいい小娘役として小津安二郎らになんか安く使われているのでは、と感じるのは早計でしょうか。坂本武は主役でも脇役でもニヒルな悲哀を醸し出す貴重な俳優ですね。以外にも斎藤達雄は他作品と違って卑屈で優柔不断、弱々しい青年役を演じていました。田中絹代と斎藤達雄が結婚するなんて似合わない組み合わせかと思いましたが。飯田蝶子のいつもの奥ゆかしい腰の低さから改めてお辞儀の大切さを学ばせて貰っているような気がします。
この時代の小津安二郎、低予算、短期間ロケであっても、学生、青春ものの中で必ず笑いを誘う、それも日本の関西でも関東でも笑いを取れるような演出は流石ですし、並行して人間として大切なものをしっかり伝えようとする意志がしっかりと伝わって来ます。