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2017年11月15日23:50

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北の三人

『北の三人』1945年8月5日公開、佐伯清監督、原節子、高峰秀子、山根寿子、ら。いやあ、久し振りにまだ観ぬ原節子を国立近代フィルムセンターの大スクリーンで堪能して来ました。地上通信士、機上通信士、飛行士、達が志を同じくして国の為に心血を注ぐ、という国威発揚映画でありながら、仄かな恋心を滲ませるドラマです。41分間、少しも観逃すまい、と集中しました。通信士は通信兵とも呼ばれていたんですね。千島飛行場、北海飛行場、、等々、北方領土に点在する飛行場に上野すみ子(原節子)、松本よしえ(高峰秀子)、後藤あき子(山根寿子)の女性三人トリオが通信兵として活躍する姿は時代が極限まで押し迫っている事を感じさせます。上野すみ子(原節子)に対して同期の松本よしえ(高峰秀子)が見せた固い態度は、原節子と実らぬ恋を抱いたままビルマで決死隊の隊長として戦死した高峰秀子実兄への儚い人生を慮ったからですが、原節子は恋よりも仕事を優先させたと推測させる設定となっています。そんな高峰秀子が機上勤務を申し出た時に後押しした原節子は「彼女は私以上に能力があります」と言い切ったところがまた嬉しいところです。飛行士の藤田進 、飛行場で指揮する志村喬、を交えて、三人娘が緊張の中にも凛々しく任務をこなし、国を背負う覚悟を見せつけてくれています。他の出演映画と違って原節子と高峰秀子は同期生設定なんですが、やはり原節子の大人びた表情と眼差しは高峰秀子よりもしっかりとした、落ち着いた女性である事を再認識させてくれます。戦時に生きる若い女性を演じさせたら原節子はピカイチですね。何故でしょうかね? 上手く表現出来ないんですが。一方、高峰秀子はここでも天然のヤンチャを発揮しながらも仕事でも負けじ根性を見せんと奮闘する姿が微笑ましいです。「日本を攻めて来たB29にも女性の機上通信士が乗っていたのよ」と高峰秀子が原節子に述べますが、B29に乗っていた女性機上通信士が史実だったのかどうも含めて改めて復習してみたいと思います。広島に原爆が落とされる前日に公開され、終戦の8月15日にも唯一上映されていた作品、と伝わっていますが、想像を越えてしまいます。公開当時に映画館に足を運んでいた人はどれくらいいたのでしょうか? どんな感覚で映画館に座っていたんでしょうかね? 当時の上映時間72分フィルムは戦後にGHQに没収され、後日戻って来た時には残っていたのは41分、との事。キャスティングされている佐分利信がこの残存41分フィルムには登場しなかったりで誠に残念ですが、それでも映画としてなかなか成り立っているところが凄いです。現在の技術からすれば飛行シーンは時代なりのものを感じさせますが、機中の飛行士と通信士の真剣、緊迫した勤務態度には目を見張るものがありました。
足を運んで良かった!、と満足させられる作品でした。
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