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2017年11月11日09:46

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權三と助十

『權三と助十(ごんざとすけじゅう)』1937年10月公開、岡本綺堂原作、伊丹万作脚本監督、花井蘭子、鳥羽陽之助、小笠原章二郎、 高堂国典、ら。
高利貸し、殺人、誤認御用、入水、流産、等の悲劇が続きますが、神田を舞台にした長屋庶民の「のどか」 さを前面に押し出し、喜劇とハッピーエンドで締める伊丹万作のセンスにまたまた感心させられました。こんな魅力的な日本映画の存在には毎週のように驚かされています。
19歳の花井蘭子はこういう作品でも輝いていたんですね。權三と助十を演じる鳥羽陽之助と小笠原章二郎、そして大家六兵衛を演じる高堂國典(黒天)の三人が息ぴったり、落語調でテンポいい受け合いがなんとも言えない魅力です。長屋沿いに夜泣きうどん屋台が商売しているなんて素敵です。長屋で営まれる葬儀、葬儀直後に行われる博打遊びの様子に目を見張りました。おとわ(花井蘭子)の父親は無実と察知しながら、殺人容疑で牢獄死したとの噂を流させた後にも釈放させた大岡越前守(深見泰三)の粋な?図らいストーリーにも感心しましたが。エンディングで、おとわ と 助十の相合い傘落書きが残されていた壁にカメラが一瞬止まり、微笑ましい気分で映画鑑賞を終わらせてくれました。監督から俳優に転じていた小笠原章二郎が酒に酔いながら撮影現場に入り、NGを連発、あの伊丹万作に殴られた、と伝わるエピソードにも注目しました。また、この作品は、悲劇と喜劇という違いはあれど、山中貞夫監督『人情紙風船』と意外と共通点が多い、という評価が残されてており、その点においても1月における『人情紙風船』上映会を楽しみにしているところです。

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