ラーメンや原人と秋の

今日はもう誰とも話さない
だからおろしニンニクをみっつ
匙に山盛りよっつも入れる
麻糸を巻く
くるくるといつまでも巻くネアンデルタール人
背油のカケラは星
シワルツシルト油膜で
ぼくの現象が冷めることはない
原人の飽きや疲れ
そら、店主が暖簾をしまった
実りの秋のいちにちに
ドンブリの恒星はどこまで
あつくて、まるいんだ
かたじけなくドア引けば
原人がペルソナを割ってくる
(ためいき)「きょうはなんにする」
うん、ちょいまち
置換された向日葵が
真冬の晴日に睫を切った
あわやかな残映の醤油らーめんを
チャーシューライスも付けてくれ
おれは腹が減っている
何時間も寝ていると
サーバーを押す力加減も
よくわかんねえんだ
原人が位置へおさまり
糸車のようにロースを巻く
糸をくるくると巻いている
今日は固めのチャーシューを
てきとうに噛んでどっぷりと
胃に送るとムネヤケの予感
よりセクシャルなドブさらいの予感
しっかり背を正し
高潔なゲップを名月へと贈る
ニンニクは満ち、たりて季語成し
やさしさゆえにほろんだ
原人の言葉をいつくしむ
「(スタンプ)カードいいの」

いいの