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2017年10月02日18:31

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左手の訓練

 大学に入学してしばらくして、「もし交通事故などで右手を骨折したりしたら、生活がとんでもなく不便だろうな」と思って、左手で箸を使う訓練をしたことがあります。なんとかうどんを食べるくらいまではできるようになったのですが、焼き魚を骨格標本になるくらいまできれいに食べるのは無理でした。
 で、それからしばらくして本当に怪我をしてギブス生活に入ったのですが、それは右足の捻挫でした。なかなか人生は思うようにはいかないものです。

【ただいま読書中】『片手で料理をつくる ──片麻痺の人のための調理の手引き』遠藤てる 著、 協同医書出版社、1998年(2006年4刷)、3800円(税別)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4763920685/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4763920685&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=47dadea422e4d9e368bd1b0736b61b5d
 日々の「調理」の特徴は、「健康への影響が大きい(食事内容は健康の基本)」「危険性(包丁や火は危険)」「行程が複雑」「自由度が大きい」「時間の制約(食事時間に合わせる必要がある)」「やり直しができない」「経済的な影響がある(使える金によって材料や調理道具に制限がある)」「多くの知識が必要」、と本書ではまず指摘されます。それに「修練も必要」を私はプラスしておきましょう。
 では、脳卒中の片麻痺などで片手しか調理に使えなくなった人の調理での問題点は「固定が難しい(固定をするのに手を使ったらその食材に対して操作ができなくなる)」「移動と運搬が難しい(片脚にも麻痺があることが多く、大きく重く熱いものの運搬が困難)」「リーチが短い(麻痺側の足に体重がかけにくいことが原因)」「力が弱い」「時間がかかる」「疲れやすい」「並行処理が難しい」「記憶障害や認知障害もあったら新しいことが覚えにくい」「集中力や注意力が落ちる(これは脳卒中の後遺症(高次脳機能障害)そのもの)」。
 ではどうするか。「動作の工夫」「道具の工夫(道具そのものの工夫、補助具の使用)」「場所の工夫」「市販品や加工品を上手に取り入れる」「外食を利用」など、できることはたくさんあります。
 たとえば魚をさばくとき、本書では「筒切り」が紹介されています。たしかに片手で三枚に下ろすのは難しいですから。ただ、私が知っている人で、薄めのまな板に裏から釘を突き抜けるように打って、そこに魚の頭を突き刺して固定してから腹を裂く、というやり方をしている人がいました。釘の先に気をつける必要はありますが、いろんな工夫ができるということです。
 笑ってしまったのは、鰹節でダシを取るのに、難しかったらけずり鰹節を細かく砕いてそのまま料理に混ぜてしまう“テクニック”が紹介されていたことです。たしかに「鰹節の味」はするでしょうね。
 本書では、具体的な料理がいくつもレシピだけではなくてそのつくりかたが丁寧に図解されています。これって、両手が使える人で料理初心者の人にも、とても参考になる本かもしれません。


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