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2017年08月14日18:11

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最後の脱走

『最後の脱走』1957年8月公開、谷口千吉監督。原節子、鶴田浩二、笠智衆、平田昭彦、団令子、沢村いき雄、堺左千夫、谷晃、ら。
原節子出演としては初のワイドスクリーン作品とか。凄い映画ですね、息を切らずに集中しました。冒頭から「日本の女だと分かれば何をされるかわからないわよ」と教師役の原節子は周りの女子生徒達の顔に墨を塗りたくり、緊張感を盛り上げますが、原節子も顔に墨を塗りたくったままであり、『上海陸戦隊』を思わせました。新京や奉天の女学校から看護婦として前線へ動員されていた白蘭部隊と呼ばれた女学生達は間もなく全員共産八路軍に捕まり、捕虜となります。脱走して蒋介石軍に捕まったら八路軍の秘密がばらされるが為に 逃亡は即処刑となる警告に原節子以下は震え上がります。人の命を軽んじるような発言をした軍医の 鶴田浩二の頬を張る原節子は正義感に燃えていますが、「ビンタは野蛮人のする事です」と嘯きますね。
八路軍の主治医?的立場の
笠智衆から「今の内地(日本)は堕落仕切っているぞ」と言われますが、「それでも私達は帰りたいんです!」と女子達みんなが絶叫します。八路軍のリーダーは日本に留学中に共産主義を学んだ、という台詞がありますが、これ、史実かも、というより要チェックでしょうね。命を落とした仲間の墓を整備し、なけなしの卒業式を行いましょうと提案する原節子、「仰げは尊し」を歌う女子生徒達に戦場から戻ったばかりの気が立った八路軍兵士達が襲いかかり、女子達を庇った原節子は八路軍兵士役の佐藤允によって陵辱されてしまうというショッキングなシーンを目の当たりにさせられます。命だけは軍医の鶴田浩二と八路軍リーダーが助けましたが、心身共にボロボロになった原節子の枕元に、弾薬が入っていない短銃を授けた鶴田浩二、引き金を引いた原節子、汚れた自分が許せないとメスで喉をつこうとする原節子に 「一度は死んだんだ、俺の為に生きてくれ」と迫る鶴田浩二に抱かれる原節子、、二人共に正に迫真の演技ですね。終戦後一年、国府軍に押された八路軍は不利となって撤退、この機に日本人は旧日本軍の集結地へ脱走する事に、緊急手術する羽目になった軍医の鶴田浩二は遅れて現場に到着、女学生達と自分が運転して来たトラックで一緒に逃げようとした矢先に背中に一弾を受け、自分も飛び下りようとする原節子を必死に引き留める女学生達、、最後は目頭が熱くなります。彼女等は無事に祖国日本の土を踏む事が出来たのでしょうか? 義理と人情を地で行く鶴田浩二はかっこよすぎましたね。また、原節子も髪を振り乱しながら、これ程迄に熱い演技を見せるなんて、感動しました。
終戦直後の満州では映画どころではない筆舌に尽くしがたい非常が数え切れないくらい沢山あった事は容易に想像出来ます。そういった犠牲者の方々をも頭に入れながら、明日、今年もまた靖国神社に参拝したいと思います。

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