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2017年05月19日07:36

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憧れのハワイ航路

 昔々の流行歌の歌詞ですが、「ハワイがそこにあること」がわかっていれば船出をすることはできます。だけど「水平線の向こうに何があるかわからない」状態で出発した人たち(ハワイに渡った最初の人たち)は、何を思ってどんな準備をして船出をしたのでしょうねえ。漁撈中の遭難・偶然の漂着、だったら、子孫を残すことはできないでしょうから、これは「偶然」ではなくて「意図しての行動」の結果だと私は考えます。だけどその「意図」の根拠は?

【ただいま読書中】『海の人類史 ──東南アジア・オセアニア海域の考古学』小野林太郎 著、 雄山閣、2017年、2600円(税別)
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 約10万年前に「出アフリカ」をした現生人類は、基本的に陸伝いに世界中に広がっていきました。氷河期の最後の時期で海面が(最大で百mも)下がっていたので、海峡の多くは陸橋になっていてアメリカにも基本的に徒歩で到達できました。しかし、ウォーラシア海域(マレーシア+インドネシア+フィリピン)とオーストラリア(+ニューギニア)の間には最低80kmの海が広がっていました。我々の祖先はそこをなんと5〜4万年前に渡っていることが、考古学の調査で判明しました。さらに4万2000年前の遺跡からは、マグロ・カツオ・大型のアジの骨が大量に出土しました。つまり、外洋漁業に当時の人々は習熟していたわけです。逆に言えば、「海」に慣れていたからこそ、遠洋航海による移動(移住)もできたのでしょう。ニューギニアでは1万年前ころからブタの骨や歯が出土していますが、これは人が連れて渡海したものと考えられています。
 貝は、食糧としてだけではなくて、道具としても重要でした。シャコ貝斧やタカセガイ製釣針などが遺跡から出土しています。使えるものは何でも使っていたのでしょう。
 私が驚いたのは、ハワイやイースター島に人類が渡ったのが「800〜1200年前」だということです。大体平安時代と重なっています。紀元前1500〜前1000年頃にミクロネシアへの移住が始まり、それが本格的になったのは東南アジアで金属器が広く使われるようになった紀元前後。人類は数百年ごとに隣の諸島へとどんどん東に広がっていって、マルケサス諸島からハワイ諸島やイースター島に広がっていったのが平安時代。「大航海時代」と西洋人は誇らしげに言いますが、その前にすでに南太平洋では(冒険か生活かはわかりませんが)「人々が大航海を普通にしていた時代」があったようです。


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