マイナンバーカードとスマホ

　「マイルやポイント、マイナンバーカードに合算へ」（讀賣新聞）http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170507-OYT1T50054.html
　どうせなら「マイナンバーカード」を「スマホ」に入れられたら良いんですけどね。そうしたらスマホ一つを持っていれば大体の社会生活はできることになりそうですから。スマホをなくしたり、壊れたらあっというまに「難民」になってしまいますが。

【ただいま読書中】『パナマ文書』バスティアン・オーバーマイヤー／フレデリック・オーバーマイヤー　著、　姫田多佳子 訳、 KADOKAWA、2016年、1800円（税別）
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B01KULNJVA/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B01KULNJVA&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=f3c4ccb818ad78711c9ecef192bc8428
　南ドイツ新聞記者のスマホに突然やって来た「ジョン・ドゥ」と名乗る人からの一通のメールからすべてが始まりました。著者の所に次々送られてくる“ホット”な情報は、パナマにある「モサック＝フォンセカ」という法律事務所の内部文書のようでした。著者らが少しずつ読み解くと、ドイツのシーメンスの巨額の脱税や、ロシアのプーチン大統領の裏金と思われる巨額の資金の姿が見えてきます。さらに、アイスランド首相の話も（ちなみにこの人は16年４月に辞任）。著者はこの時点ですでに「国際ネットワークで調査する」と基本方針を決定しています。「自分たちだけで文書を扱う」方針でドイツの問題だけを特ダネとして報じるのではなく。だから「国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)」にも声をかけます。
　しかし、国際協力の話がまだ何も決まらないうちに、次々送りつけられるファイルは250ギガバイトをあっという間に突破します（ウィキリークスが公表した公電・公文書ファイルは1.7ギガバイトでした）。情報の海に著者らは溺れそうになります。溺れないように気をつけなければなりませんが、他にも「情報の信憑性（ジャーナリストを引っかけるための手の込んだガセネタではないか）」とか、本物の場合の「自分の身の安全」「情報提供者の身の安全」にも気をつける必要があります（モサック＝フォンセカの重要顧客には、独裁者・武器商人・マフィアなども多く含まれています）。
　やっとジャーナリストの国際会議の開催にこぎ着けたとき、データは1.5テラバイト、最新の情報は２〜３日前、隠れ蓑に使われているペーパー・カンパニーに関する詳しい情報は25万社分。それが1.7テラバイトを越えたとき、新聞社のパソコンはフリーズしてしまいます。検索のためのインデックスづけや検索作業がパソコンの能力を超えてしまったのです。
　データが膨大、と言うだけあって、本書に詰め込まれた情報も膨大です。とりあえずページ数は400ページ以上。それを精読するのは、疲れます。だけど、リークされた情報を精読することを思えば、こちらは楽ちんな作業なんです。
　ミュンヘンで行われたICIJの２回目の会議には、世界中から104人のジャーナリストが集結しました。データは2.4テラバイト。会議に来られなかった人を含めればプロジェクトに実際に参加しているジャーナリストは65ヶ国、200人以上になっています。
　著者は「ビジョン」を得ます。パナマ文書が示しているのは「個人的なズル」ではない、と。権力者がその国の発展の礎をタックスヘイブンに移してしまったら、その国には飢餓などの悲劇が生じますが、それはその国だけの問題ではなくて、世界の問題になるのです。
　2015年秋に一斉報道しようと最初は予定していましたが、ネタがあまりに膨大だったため、ICIJに集ったジャーナリストたちは16年春に発表を延期することにします。
　アイスランドのジャーナリストは悩みます。政権の腐敗を告発するネタが「パナマ文書」にたっぷりあるのに、アイスランドのテレビも新聞も政権の息がかかっているのです。それと、アイスランドの税務局が、パナマ文書よりもっと古くて小規模ではありますが、リーク文書を入手したこともわかりました。あまり長く待っていたら、先を越されてしまうかもしれません。
　2016年4月3日20時、南ドイツ新聞のホームページで「パナマ文書」がついに解禁されます。狂騒劇の開幕です。そしてそれは同時に「もっとましな世界」を求める運動の開幕でもありました。